【実践編】キャリアアップ助成金を活用する申請手続き完全ガイド 令和7年度版~シリーズ⑨~

ブログ監修者

プランナー

棚橋和宏
(たなはしかずひろ)

【保有資格:医療経営士3級】

整骨院の開業・運営にかかる費用を少しでも抑えたい、補助金を活用したいとお考えの方へ。
私は医療機器販売と補助金申請支援の経験を活かし、整骨院経営を資金面からサポートしています。
「自院が対象になるのか分からない」「申請手続きが不安」そんなお悩みに丁寧に寄り添い、最適な制度選びから申請サポートまで対応。
補助金を活用することで設備投資や差別化が可能となり、経営の安定化にもつながります。
まずはお気軽にご相談ください。先生の想いを形にするお手伝いをさせていただきます。

キャリアアップ助成金の概要

制度の目的と背景

キャリアアップ助成金は、非正規雇用のスタッフを正社員へ転換したり、賃金を引き上げたりする取り組みを支援する制度です。日本の労働市場では、非正規スタッフが将来に不安を抱えやすく、安定した雇用を実現することが大きな課題です。この制度は、事業主がスタッフの処遇改善を進める際の経済的負担を軽減し、安心して働ける職場づくりを促進することを目的としています。

令和7年度の主な変更点

令和7年度からは、重点支援対象者への支給額が拡充されたり、短時間労働者の社会保険適用を支援する新設コースが導入されたりと、さらに幅広い取り組みを後押しする内容になっています。接骨院や鍼灸院のような小規模事業者でも活用しやすく、地域の雇用を安定させるための制度として期待されています。

厚生労働省 キャリアアップ助成金のご案内より抜粋

接骨院・鍼灸院が活用すべき理由

接骨院や鍼灸院では、受付や施術補助など非正規スタッフを多く雇用しています。こうしたスタッフの処遇を改善し、長く働いてもらうことは経営の安定に直結します。助成金を活用すれば、賃金引上げや正社員転換、社会保険適用に伴う負担を軽減しながら、スタッフが安心して働ける職場をつくれます。地域から選ばれる院を目指すために、ぜひ前向きに検討してほしい制度です。

申請までの全体の流れ

計画書の作成と提出

キャリアアップ助成金を活用する最初のステップは、「キャリアアップ計画書」の作成です。この計画書には、どのスタッフを対象にどのような処遇改善を行うか、具体的な目標や取り組み内容を記載します。作成後は、取り組みを始める前日までに所轄の労働局やハローワークへ提出する必要があります。計画書を提出しないまま進めると、助成金の対象外になるため注意が必要です。

就業規則の改定と届け出

計画書の認定を受けたら、就業規則を改定して処遇改善内容を明記します。正社員転換制度や賃金規定、社会保険適用に伴う変更などを具体的に反映させます。改定後は労働基準監督署への届け出が必要です。スタッフへの周知も大切で、理解と同意を得ることでスムーズな運用が可能になります。

取り組みの実施と記録

認定を受け、就業規則を整えたら、実際に計画に基づいた取り組みを進めます。正社員への転換、賃金の引上げ、労働時間の延長など、決めた内容を実施します。日々の勤怠記録や賃金台帳を正確に整備し、証拠を残すことが助成金申請時に重要になります。

賃金支払い実績の整備

取り組みを進めた後は、賃金の支払い実績を6か月分確保します。この間の賃金台帳、勤怠記録、支払い明細書などを正確に管理し、スタッフの処遇改善が実施されたことを証明できるようにします。書類が不備だと申請が通らない可能性があるため、漏れなく整備することが大切です。

支給申請と審査

6か月間の実績を整えたら、所定の期限内に支給申請を行います。必要書類を揃えて所轄の労働局へ提出します。書類審査を経て問題がなければ助成金が支給されます。スケジュールを逆算して余裕を持って進めることが、スムーズな申請成功のカギです。

申請に必要な書類

必須書類の詳細

キャリアアップ助成金の申請には、さまざまな書類が必要です。基本となるのは支給申請書と支給要件確認申立書です。さらに、支給対象労働者名簿、計画書の写し、雇用契約書のコピー、就業規則の写しなども必要になります。これらはスタッフの処遇改善を行ったことを示す根拠として審査される重要な資料です。
申請するコースによって必要な書類や様式が異なるので、要項をしっかり確認する必要があります。

管理と整備のポイント

書類をスムーズに提出するためには、日頃から正確に管理しておくことが大切です。就業規則は常に最新の内容を維持し、改定した際は労働基準監督署への届け出を忘れないようにします。賃金台帳や勤怠記録は細かくチェックされるため、記載漏れや誤りがないように整備しておく必要があります。スタッフへの説明や同意書なども保管しておくとトラブルを防止できます。

書類不足を防ぐコツ

申請で多いミスは、必要な書類を揃え忘れることです。計画書を事前に提出しないまま進めてしまうと、そもそも助成金の対象外になってしまいます。また、就業規則に処遇改善内容が反映されていなかったり、賃金台帳に支払い実績が記載されていなかったりするケースもあります。こうしたミスを防ぐために、チェックリストを活用し、一つずつ確認しながら進めることが重要です。

申請を成功させるためのポイント

計画段階での注意点

キャリアアップ助成金を確実に受給するためには、計画段階からの準備が重要です。最初に作成するキャリアアップ計画書は、取り組みを始める前に必ず提出しなければなりません。事前の届け出がない場合は、どれだけ取り組みを進めても助成金の対象外になります。スタッフごとの対象者設定や取り組み内容を具体的に記載し、無理のないスケジュールを立てることがポイントです。

スタッフとのコミュニケーション

処遇改善を進める際には、スタッフへの説明と同意が欠かせません。正社員転換、賃金引上げ、社会保険適用など、働き方が変わる内容をしっかり伝え、理解を得ることでトラブルを防ぎます。スタッフが安心して取り組みに協力できるように、日頃からのコミュニケーションを大切にすることが大切です。

スケジュール管理の重要性

助成金の申請は、計画書提出から支給申請まで長期間にわたるプロジェクトになります。就業規則の改定、実施期間中の賃金支払い、証憑の整備など、各段階で期限が決まっています。スケジュールを逆算して進めることで、慌てることなく確実に準備を整えられます。計画段階から具体的なスケジュール表を作り、進捗を管理することが成功のカギです。

接骨院・鍼灸院での活用事例イメージ

受付スタッフの正社員化

接骨院や鍼灸院では、受付業務をパートタイムで任せることが多いです。患者さんとの最初の接点を担う大事な役割ですが、非正規雇用では安定した働き方が難しいこともあります。キャリアアップ助成金を活用して正社員化を進めることで、スタッフに安心感を提供し、長期的な定着を促進できます。経営側も採用や教育コストを抑えられ、患者さんへのサービス向上にもつながります。

施術補助スタッフの処遇改善

施術補助を担うスタッフは、院のサービス品質を大きく左右します。賃金規定等改定コースを活用し、基本給を引き上げることで「認められている」という実感を持ってもらえます。社会保険適用も組み合わせれば、将来の不安を減らせます。助成金を活用して処遇を改善することで、スタッフが安心して働ける職場を実現できます。

小規模院での段階的な導入

小規模な接骨院・鍼灸院では、一度に全スタッフを正社員化したり処遇を大きく変えるのは負担が大きい場合があります。まずは1人目の正社員化から始め、段階的に進めることで経営のリスクを分散できます。助成金を活用することで初期の負担を抑えつつ、スタッフの安心感と院の信頼を高める基盤を築けます。

まとめ|スタッフの未来を支える助成金活用

接骨院や鍼灸院が地域に根ざし、患者さんに選ばれ続けるためには、スタッフが安心して長く働ける職場づくりが欠かせません。キャリアアップ助成金は、正社員化や賃金引上げ、社会保険適用といった処遇改善を進める際の経営負担を軽減し、スタッフのモチベーションを高める強力なサポートになります。

令和7年度版では、重点支援対象者への加算や新設コースの登場など、さらに幅広い取り組みを後押しする内容になっています。計画書の作成、就業規則の改定、実施記録の整備など、申請には段階的な準備が必要ですが、その分しっかり活用すれば院の未来を支える土台を築けます。

スタッフを大切にし、地域から信頼される院を目指すために、この助成金を前向きに活用してみてください。不安があれば専門家に相談しながら、一歩ずつ取り組みを進めていきましょう。

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