「患者数は増えているのに利益が残らない」院の典型パターン
ブログ監修者
プランナー
棚橋 和宏
(たなはし かずひろ)
【保有資格:医療経営士3級】
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なぜ「患者数が増えても利益が残らない」のか

売上と利益はまったくの別物
「今月は患者さんが増えたのに、通帳の残高が思ったほど増えていない」。この感覚があるなら、まず押さえておきたいのは“売上”と“利益”は別物だという点です。売上は、入ってくるお金の合計です。一方で利益は、そこから出ていくお金を引いた「最後に残るお金」です。
患者数が増えると、売上は伸びやすくなります。ただ同時に、出ていくお金も増えます。スタッフの残業が増えたり、タオルや消耗品の回転が早くなったり、広告費を追加したり、電気代が上がったり。忙しくなったぶんだけ、目に見えないコストが積み上がることも少なくありません。売上だけを見て「順調」と判断すると、気づかないうちに利益が削られていきます。
さらに厄介なのは、院内で「どこで儲かって、どこで損をしているのか」が見えにくいことです。施術ごとに時間が違い、患者さんの通い方も違います。結果として、現場の感覚だけで経営を判断しやすくなります。忙しいのに残らない院は、まずこの“見えにくさ”に対処する必要があります。
忙しさ=経営がうまくいっているとは限らない
院内が常に回っていて、予約も埋まっている。いわゆる「繁盛している」状態に見えるのに、なぜか経営が楽にならない。こうしたケースでは、忙しさそのものが問題のサインになっていることがあります。
例えば、低い単価の施術が多く、回転数で帳尻を合わせている状態だとどうなるでしょう。院長もスタッフも時間に追われ、説明や提案が雑になりやすくなります。すると患者さんの納得が深まらず、継続率や自費の移行率が伸びません。結果として「もっと人数を増やさないと」となり、さらに忙しくなる。このループに入ると、いつまで経っても利益が残りづらいままです。
また、院長が現場に入り続けるほど、経営の見直しに時間が取れません。数字の確認、メニューの整備、スタッフの動き方の調整、価格の見直しなど、本来は利益を作るために必要な仕事が後回しになります。忙しさに安心せず、「忙しいのに残らない」理由を分解していくことが、改善の第一歩になります。
利益が残らない院に共通する典型パターン

単価が低いまま患者数だけを追っている
利益が残らない院で最も多いのが、単価が低い状態のまま患者数だけを増やそうとしているケースです。来院数が増えれば売上は一時的に伸びますが、単価が低ければ限界はすぐに訪れます。結果として、常に予約は埋まっているのに、院全体は余裕がない状態になります。
この状態では「あと10人来てくれれば」「もう少し新規が増えれば」と考えがちですが、根本的な解決にはなりません。むしろ人数を増やすほど、施術時間が圧迫され、説明や対応が雑になりやすくなります。その結果、患者さんの満足度が下がり、長く通ってもらえなくなる悪循環に入ります。
回数券・自費メニューが機能していない
回数券や自費メニューを用意していても、実際にはほとんど出ていない院も少なくありません。その理由の多くは「価値が伝わっていない」ことにあります。内容は悪くないのに、説明が短かったり、タイミングが合っていなかったりすると、患者さんは必要性を感じにくくなります。
その結果、保険施術中心の来院が続き、単価は上がらないままです。単価が低い状態で患者数を増やす経営は、体力勝負になりやすく、長く続けるのが難しくなります。
コスト構造を把握できていない
利益が残らない院では、「何にどれだけお金がかかっているか」を正確に把握できていないことが多くあります。家賃や人件費のように分かりやすい支出だけでなく、消耗品、設備の維持費、広告費などが積み重なり、知らないうちに利益を圧迫しています。
特に注意したいのは、忙しさに比例して増えるコストです。患者数が増えるほど、タオルや電気、水道、消耗品の使用量は確実に増えます。これらを「細かいから」と見ないままにすると、売上が増えても残らない状態が続きます。
人件費・設備費が感覚任せになっている
スタッフの配置や物療機器の使い方が、長年の慣れで決まっている院も多いものです。「ずっとこうしてきたから」「今さら変えにくいから」という理由で見直されないまま、人件費や設備費が固定化してしまいます。
本来は、どの時間帯にどれだけの人手が必要なのか、どの設備がどれくらい使われているのかを整理することで、無理なく改善できる余地が見えてきます。感覚ではなく、事実を見て判断することが重要です。
物療や施術時間が「利益を生まない使い方」になっている
物療を「とりあえず回しておくもの」として使っていると、時間も設備も活かしきれません。患者さんにとっても「何をしているのか分からない時間」になりやすく、満足度が上がりにくくなります。
本来、物療は施術の質を高めたり、施術時間を有効に使ったりするためのものです。使い方や説明の仕方次第で、患者さんの納得感も院の利益も変わってきます。目的が曖昧なまま使い続けると、コストだけが残りやすくなります。
院長が現場に入りすぎて経営を見られていない
院長が一日中施術に入っていると、経営を考える時間が取れません。数字を見直す時間、メニューを整える時間、スタッフと話す時間が後回しになります。その結果、問題があっても「忙しいから仕方ない」と流されてしまいます。
現場に立つこと自体は悪いことではありません。ただ、経営を見る時間がまったく取れていない状態は危険です。利益が残らない院ほど、院長が一人で抱え込み、抜け出せなくなっているケースが多く見られます。
利益体質の院が必ず見直しているポイント

患者数ではなく「1人あたりの利益」を見ている
利益が残る院では、「今日は何人来たか」よりも「1人あたりでどれくらい利益が出ているか」を見ています。患者数が同じでも、内容や流れが違えば、残るお金は大きく変わります。忙しさに左右されず、安定した経営をしている院ほど、この視点を大切にしています。
例えば、施術時間に対してどれくらいの売上があり、そこからどれくらいのコストが引かれているのかを整理します。こうして考えると、数を増やすよりも、流れを整えるほうが現実的だと気づくことが多いはずです。無理に患者数を増やさなくても、利益は改善できます。
院内オペレーションと設備投資の最適化
利益体質の院では、院内の動きが整理されています。誰が、いつ、何をするのかが曖昧なままだと、無駄な待ち時間や手戻りが生まれます。その積み重ねが、利益を削る原因になります。
設備についても同じです。導入しただけで満足せず、「今の使い方で本当に活かせているか」を定期的に見直しています。物療機器も、目的に合った使い方をすることで、施術の質と効率の両方を高められます。結果として、現場に余裕が生まれ、利益にもつながります。
利益を生むメニュー設計と説明の仕組み
利益が残る院では、メニューが分かりやすく整理されています。患者さんが「何のための施術なのか」「どう良くなるのか」を理解できる流れが作られています。そのため、無理に勧めなくても、納得して選んでもらえる状態になります。
また、説明が院長だけに頼られていない点も特徴です。スタッフが同じ内容を同じレベルで伝えられる仕組みがあるため、院全体として安定した対応ができます。これが結果的に、単価と満足度の両方を支えています。
今日からできる経営改善の第一歩

まず数字を「見える化」する
利益が残らない状況から抜け出すために、最初にやるべきことは難しい改革ではありません。まずは、院の数字をきちんと「見える形」にすることです。売上の合計だけを見るのではなく、患者数、平均の単価、そこから出ていくお金を整理してみてください。
この作業をすると、「思っていたより利益が出ていない施術」や「忙しい割に残らない時間帯」が見えてくることがあります。感覚では順調だと思っていた部分が、実は経営を圧迫していると気づくことも珍しくありません。数字を把握することは、問題を責めるためではなく、改善点を見つけるための第一歩です。
外部の視点を入れて現状を整理する
長く院を運営していると、自分たちのやり方が当たり前になります。その結果、改善の余地があっても気づきにくくなります。利益が残らない状態が続いている場合は、外部の視点を入れることも有効です。
第三者の目で院内の流れやメニュー、設備の使い方を見てもらうことで、「なぜ残らないのか」が整理されます。院長自身が現場から一歩引いて考えるきっかけにもなります。無理に大きく変える必要はありません。小さな見直しを積み重ねることで、忙しさはそのままでも、利益が残る体質へと近づいていきます。
まとめ

「患者数は増えているのに利益が残らない」という悩みは、決して珍しいものではありません。その原因は、集客が足りないからではなく、院内の仕組みやお金の流れが整理されていないことにあります。単価、コスト、物療の使い方、院長の役割。これらを一つずつ見直すことで、無理なく経営は改善していきます。
忙しさに流されるのではなく、立ち止まって院の状態を見直すこと。それが、これからも長く安定して続けていくための大切な一歩になります。
また、利益が残らない状態を改善するためには、院内の仕組みを見直すだけでなく、使える制度を正しく活用する視点も欠かせません。特に、設備の入れ替えや業務効率化を検討している場合、自己資金だけで判断してしまうと、改善の選択肢が狭まってしまいます。
実際には、物療機器の導入や院内環境の改善に活用できる助成金制度もあり、条件を満たせば費用負担を抑えながら経営改善を進めることが可能です。
👉 助成金を活用した経営改善の考え方については諸々解説しています。合わせてご覧ください。
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