接骨院・鍼灸院の補助金活用ガイド|申請前に押さえるべき従業員の定義とは?
ブログ監修者

プランナー
棚橋和宏
(たなはしかずひろ)
【保有資格】

整骨院の開業・運営にかかる費用を少しでも抑えたい、補助金を活用したいとお考えの方へ。
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「常時使用する従業員」とは?接骨院・鍼灸院が知っておくべき基準

常時使用する従業員の基本的な定義とは
小規模事業者持続化補助金では、「常時使用する従業員」の数が申請要件において重要な基準となります。
この「常時使用する従業員」とは、事業所で継続的かつ通常の業務に従事しているスタッフを指します。日々業務に関わっているかどうかが判断材料となるため、単発や臨時で働く人とは区別されます。
接骨院や鍼灸院の場合、日常的に勤務している施術スタッフや受付担当者がこれに該当します。たとえば正社員として雇用している従業員は、明確に「常時使用する従業員」としてカウントされます。
補助金の申請では、「従業員5人以下」や「20人以下」といった上限が定められているため、自院がこの条件を満たしているかどうかの判断には、この定義の理解が不可欠です。
パートタイムやアルバイトは含まれる?
接骨院・鍼灸院では、パートやアルバイトスタッフを雇っているケースも多くあります。では、このような非正規スタッフは「常時使用する従業員」に該当するのでしょうか。
答えは、「勤務時間によっては該当する」ということになります。
所定労働時間の判断基準とは
パートタイムであっても、その勤務時間が「通常の従業員の4分の3以上」であれば、「常時使用する従業員」としてカウントされます。
たとえば、正社員の所定労働時間が1日8時間の場合、6時間以上働いているパートスタッフは、補助金制度上、正社員と同様に数えられます。
逆に、週数回・短時間勤務など、明らかに補助業務を一時的に支援しているようなケースでは、常時使用する従業員には該当しません。
この点を見落としてしまうと、従業員数の誤カウントによって申請要件から外れてしまうこともあるため、慎重な判断が必要です。
院内で迷いやすいケースの判断方法
接骨院・鍼灸院では、家族が手伝っている、兼務の役員が施術にも関わっているといった状況が珍しくありません。
こうしたケースでは、実際の就業実態をもとに判断することが大切です。
手伝いが週に1〜2回程度である場合は、該当しないと判断されることが多いです。
また、事務長など役職付きのスタッフでも、実態として業務にフルタイムで従事しているのであればカウント対象となる場合があります。
このように、契約形態よりも「どのくらい働いているか」という実情が重視される点に注意しましょう。
補助金の対象から外れる従業員とは?除外されるケースを整理
役員や家族は従業員に入る?
接骨院・鍼灸院の経営において、家族が受付や事務作業を手伝っていたり、院長本人が法人の役員を兼ねていたりするケースは少なくありません。
では、このような役員や家族は「常時使用する従業員」としてカウントされるのでしょうか。
まず、法人の役員は基本的に従業員としてはカウントされません。ただし、役員であっても実際に従業員と同じように勤務しており、業務に直接関わっている「兼務役員」の場合には、従業員として扱われることがあります。
また、個人事業主の配偶者や同居の親族についても、原則としては常時使用する従業員に含まれません。
なぜなら、これらの人々は経営者と一体で事業を運営していると見なされるため、労働者としての独立性が薄いと判断されるからです。
ただし、同居していない親族や、給与支払いの実態が明確にあり、他の従業員と同様の勤務状況が確認できる場合などは、例外としてカウントの対象になる可能性もあります。
短期・季節雇用者の扱いとは
短期間だけ雇用しているアルバイトや、繁忙期にだけ働くスタッフについても注意が必要です。
小規模事業者持続化補助金では、以下のような短期雇用者は「常時使用する従業員」に含まれません。
- 日雇いで雇われている人
- 契約期間が2ヶ月以内の短期労働者
- 季節的な業務に従事し、4ヶ月以内の期間で雇用されている人
一方で、雇用契約は短期であっても、実態として長期にわたり継続して雇用されている場合には、常時使用とみなされる可能性があります。
そのため、契約書に加えて、実際の勤務実績や給与支払いの履歴も確認しておくことが大切です。
休業中のスタッフはカウントされる?
育児休業や介護休業、傷病による長期休暇を取得しているスタッフはどう扱われるのでしょうか。
これについては明確なルールがあり、長期の休業に入っているスタッフは「常時使用する従業員」としてカウントされません。
たとえば、出産に伴って育児休業を取得している場合や、病気治療のために休職している場合は、その間は従業員数のカウントから除外されます。
ただし、復職後に再び勤務を開始すれば、カウント対象に戻ることになります。
このような一時的な離脱者の扱いを誤ってカウントしてしまうと、申請条件に合致しないと見なされることもあるため、注意が必要です。
接骨院・鍼灸院が該当する従業員数の上限とは?

業種別の上限人数のルール
小規模事業者持続化補助金では、「常時使用する従業員数」に上限が設定されています。
この上限は業種ごとに異なり、事業の種類によって以下のように分類されています。
- 商業・サービス業(宿泊業・娯楽業を除く):5人以下
- 製造業・その他の業種:20人以下
この基準を超えている場合、たとえ個人事業であっても「小規模事業者」とは認められず、補助金の対象から外れてしまいます。
そのため、まずは自院の業種がどのカテゴリに該当するかを明確にすることが大切です。
接骨院・鍼灸院は「サービス業」区分に該当
接骨院や鍼灸院は、一般的に「商業・サービス業(宿泊業・娯楽業を除く)」のカテゴリに分類されます。
したがって、常時使用する従業員数が5人以下であることが、補助金申請の前提条件になります。
この「5人以下」という上限は、パートやアルバイトも一定の条件下で含まれるため、実際に勤務している人数を正確に把握しておく必要があります。
曖昧なまま申請してしまうと、審査の段階で不備が発覚し、申請自体が却下されることもあり得ます。
上限を超えてしまう場合の対処法
もしも従業員数が6人以上となっている場合は、小規模事業者持続化補助金の対象外となります。
その場合、他の補助制度の活用を検討する必要があります。たとえば、地域や業種に応じて実施されている自治体独自の補助金、雇用助成金、業務改善助成金などが候補になります。
また、制度によっては「常勤換算人数」で判断されるケースもあるため、労働時間や就業形態の見直しによって調整が可能かどうか、専門家に相談してみるのも有効です。
無理に人数をごまかして申請することは絶対に避け、正確かつ誠実に条件をクリアすることが、長期的な経営の安定にもつながります。
申請前に確認!従業員数を正しくカウントするポイント

カウント対象と対象外を明確にする
補助金申請においては、誰を「常時使用する従業員」としてカウントするのかを正確に把握しておく必要があります。
この判断を誤ると、申請が却下される、もしくは交付後に返還を求められる可能性もあるため、注意が必要です。
まず、正社員は当然カウント対象になりますが、パートタイムやアルバイトの場合は勤務時間によって判断されます。
一方で、役員や家族、短期雇用者、育児・介護・傷病で長期休業中の従業員などは、原則としてカウント対象外です。
この線引きを事前に明確にし、「うちは大丈夫」と思い込まずに制度上のルールを確認することが大切です。
就業実態と契約内容を一致させる
従業員のカウントにおいて重要なのは、「実際にどう働いているか」という就業実態です。
形式的に「パートタイマー」となっていても、実際にはフルタイムに近い勤務をしていれば、常時使用する従業員としてみなされることがあります。
そのため、労働契約書やシフト表、給与明細などの証拠と、就業実態が一致しているかをチェックしておくことが必要です。
こうした事前準備を行うことで、申請内容に対する質問や審査にもスムーズに対応でき、信頼性の高い申請書を提出することが可能になります。
グレーなケースは専門家に確認を
「このスタッフはカウントすべきかどうか判断がつかない」
「家族経営だけど、実態としては外部の従業員と変わらない働き方をしている」
こうしたグレーなケースは、接骨院・鍼灸院では少なくありません。
そのような場合は、商工会議所や行政書士、補助金申請に詳しい専門家に相談することをおすすめします。
自分だけで判断しようとせず、第三者の目でチェックを受けることで、リスクを未然に防ぐことができます。
補助金は、正確な情報と判断に基づいて申請することが前提です。
だからこそ、あいまいな部分は事前に解消し、安心して手続きを進められる状態をつくることが大切です。
まとめ|正確な従業員把握が補助金申請成功のカギ
要件に合致するかの最終チェック
接骨院・鍼灸院が小規模事業者持続化補助金を活用するためには、「常時使用する従業員」の定義を正しく理解し、自院がその条件を満たしているかを正確に判断することが何より重要です。
補助金制度では、単に人数を数えるだけでなく、誰をカウントするのか、誰が除外されるのかを明確にする必要があります。
パートやアルバイト、役員や家族など、判断が難しいケースもありますが、誤認による不備やトラブルを避けるためには、就業実態を踏まえた冷静な確認が欠かせません。
申請前には、勤務形態・契約内容・実働状況をあらためて見直し、必要であれば専門家の意見を取り入れることも大切です。
従業員の定義を理解した上で制度を活用しよう
小規模事業者持続化補助金は、設備導入や広告費、業務効率化などに幅広く活用できる心強い支援制度です。
しかし、その恩恵を受けるには、制度のルールを正しく理解し、正確な情報で申請を行うことが前提となります。
「従業員の定義」という一見地味な項目であっても、申請の成否を左右する大きなポイントです。
制度を安心して活用するためにも、自院の体制を明確にし、補助金を経営改善のチャンスとして最大限に活かしていきましょう。