患者が離反する原因ランキングと接骨院・鍼灸院が行うべき再来院率向上の施策
ブログ監修者
プランナー
棚橋 和宏
(たなはし かずひろ)
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Contents
患者が離反する主な原因ランキングとその背景

患者が離反する最大の要因は「効果の実感不足」です。接骨院・鍼灸院に来院する人は、痛みの軽減や生活のしやすさという“体感”を求めています。ところが、その手応えが弱い、あるいは伝わってこないと感じた瞬間に、期待は不安へと変わりやすいと言えるでしょう。本章では、現場で頻出する離反要因をランキング形式で整理し、背景にある患者心理を分かりやすく解説します。
第1位:施術の効果が実感できない
初回から数回の施術で「少し楽になった」「動きが軽い」といった小さな変化を示せないと、患者は先行きに疑問を抱きます。痛みの原因や回復の道筋が見えないまま通うのは心理的負担が大きく、別の院や他の治療法を検討する引き金になりがちです。
効果を感じられないと患者が離れる心理
人は成果が見えると行動を続けやすくなります。逆に、何も変わらない感覚が続くと「通う意味がない」と判断しやすいものです。痛みの強弱だけでなく、睡眠の質や家事・仕事のしやすさなど、日常動作での変化を具体的に示すことが継続の鍵になります。
説明不足が不安と不信感を生む
同じ施術でも、目的と狙いが分かるかどうかで体感は変わります。施術の意図、今日の評価ポイント、次回の目標が言語化されていないと、患者は効果を受け取り切れません。「なぜこのアプローチなのか」を短く明確に伝えるだけで、安心感は大きく高まります。
第2位:不必要な施術・押し売りの印象
患者の主訴に沿わない提案や、急な高額コースの案内は、信頼を損ねる代表例です。提案そのものが悪いのではなく、優先順位や根拠の示し方が不十分だと“押し売り”に見えてしまいます。納得の手順を踏むことが大切です。
信頼を損なう過剰提案のリスク
「今はこれが必要」と言い切る前に、症状の段階や通院可能頻度、費用感を確認し、選択肢を並べて一緒に決める姿勢を示すと、押し付けの印象は薄れます。提案は“選べる設計”にしておくと誤解を避けられます。
第3位:コミュニケーション不足による不安
受付から退室までの流れに説明の空白があると、不安が残ります。評価→施術→再評価の要点が共有されないと、患者は現在地もゴールも分からず、通院の理由を見失いがちです。短時間でも対話の質を整えることが重要です。
治療方針や進行状況の共有が不足していないか
「今日は〇〇を確認し、△△を整え、次回は□□を狙う」のように三点で伝えると、道筋が一気に明瞭になります。通院間隔の意味やホームケアの目的も合わせて伝えると、患者は主体的に関わりやすくなります。
第4位:施術者のスキル・対応への不満
技術そのものに加え、触れ方や声かけ、姿勢の配慮も“腕前”の一部です。痛みへの共感や安全への配慮が欠けると、結果が出ていても満足度は上がりません。臨床スキルと接遇の両輪で評価されると意識しましょう。
第5位:通いやすさ・利便性の問題
予約が取りにくい、待ち時間が読めない、支払い方法が限られるといった不便は、小さく見えて大きな離反要因です。日常に溶け込む通院動線を作ると、継続のハードルは下がります。
第6位:費用面・コスト負担の高さ
価値の説明が不足すると、同じ金額でも“高い”と感じられます。得られる変化や期間の見通しをあらかじめ示し、費用対効果を理解してもらうことが継続につながります。
第7位:院内環境や雰囲気への不満
清潔さ、音、匂い、プライバシーの配慮は“無言の接客”です。些細な違和感が積み重なると離反の決め手になり得ます。五感に配慮した環境づくりは、口コミにも直結します。
離反を防ぐために接骨院・鍼灸院が見直すべき重要なポイント

患者の離反は「施術の技術力」だけで防げるものではありません。実際には、信頼関係の構築や初回体験の設計、情報の伝え方といった“目に見えにくい部分”が大きな役割を担っています。この章では、再来院率を高めるうえで欠かせない3つの重要な視点について詳しく見ていきます。
患者との信頼関係を築くカウンセリング術
どれほど技術力が高くても、患者が「この先生に任せたい」と思わなければ継続的な来院にはつながりません。その信頼を生む第一歩が、初回時のカウンセリングです。問診票の内容をなぞるだけではなく、「なぜ痛みが出ているのか」「どういう生活背景が影響しているのか」といった患者の“物語”を丁寧に聞き出すことが重要です。
この段階で信頼が生まれれば、多少改善までに時間がかかっても「この人なら任せて大丈夫」という安心感が離反を防ぎます。特に、患者自身が気づいていない生活習慣や姿勢の癖に触れると、「自分の身体を本気で見てくれている」と感じてもらいやすくなります。
初回~3回目までの「体感づくり」がカギ
来院初期の3回は、リピート率を大きく左右する重要な期間です。この間に「通えば良くなる」という実感が持てなければ、多くの患者は4回目以降の予約を取らずに離れてしまいます。
そのため、初回から明確な治療計画とゴールイメージを提示し、「この順番で良くなっていきます」と未来を見せることが欠かせません。また、痛みの変化だけでなく、「姿勢がまっすぐになった」「夜よく眠れるようになった」といった生活面での小さな改善も共有すると、患者は“治療が進んでいる”と感じやすくなります。
さらに、施術ごとにビフォーアフターを写真や動作チェックで「見える化」することも効果的です。体感の積み重ねは、信頼と通院意欲の両方を育てます。
定期的な効果測定とフィードバックの重要性
施術を重ねる中で、患者自身が「本当に良くなっているのか」を把握できていないケースは意外と多く見られます。そうした不透明感が、知らないうちに離反の原因になることも少なくありません。
これを防ぐには、一定のタイミングで施術効果の測定と振り返りを行うことが大切です。たとえば、「初回来院時と比べて可動域がどれだけ広がったか」「痛みの程度が何割減ったか」といった数値的な変化を共有すれば、患者は自分の身体が確実に改善していることを実感できます。
また、フィードバックの場では「今後どうなっていくか」という未来の展望を合わせて伝えると、通院のモチベーションが高まりやすくなります。施術者側も、定期的な評価を通じて治療方針の修正点を見つけられるため、結果として満足度の高い治療へとつながります。
再来院率を高めるための効果的な改善施策

患者が一度来院しても、その後継続的に通ってくれるとは限りません。実際、初回から3回以内に離脱してしまうケースが多く、「なぜ続かないのか」「どうすれば再来につながるのか」という悩みは多くの治療院が抱えています。ここでは、再来院率を高めるために現場で実践できる具体的な改善策を解説します。
予約・来院のハードルを下げる仕組みづくり
せっかく満足して帰っても、次回予約が面倒だと患者は通う機会を失います。再来を促すためには、「通いやすい環境を作る」ことが最優先です。特に効果的なのが、来院時に次回予約を取ってもらう“出口予約”の仕組みです。「次はこのタイミングで来るとより効果が出ます」と根拠を添えて提案するだけで、継続率は大きく変わります。
また、オンライン予約やLINE予約の導入も効果的です。24時間いつでも予約できる環境を整えることで、「電話するのが面倒」「診療時間中に連絡できない」といった小さなハードルを取り除けます。さらに、リマインドメッセージを自動送信すれば、うっかり忘れによるキャンセルや離脱も防止できます。
LINE予約・リマインド活用で離反を防ぐ
最近では、LINEを使った予約管理が多くの治療院で導入されています。操作が簡単で通知も届くため、患者の手間が減り、次回来院までの心理的距離も近くなります。加えて、「次の来院時期が近づいています」といったリマインドメッセージは、来院忘れの防止だけでなく、「自分の体を気にかけてくれている」という信頼感にもつながります。
継続来院のメリットを“見える化”する工夫
患者が再来しない理由の多くは、「今の自分に本当に必要なのかがわからない」という曖昧さです。だからこそ、「継続するとここまで改善する」「放置するとこうなる」という未来のシナリオを見せることが重要です。
例えば、「3回目までは炎症を抑える段階、5回目以降は再発防止の強化ステージ」といったように、治療プロセスをステップごとに説明すると、患者は“通う理由”を明確に理解できます。また、ビフォーアフターの写真や姿勢分析データなど、客観的な記録を活用することで「通い続けた結果」が可視化され、継続のモチベーションが高まります。
さらに、通院を続けることで生活がどう変わるのか(仕事が楽になる・睡眠が改善するなど)といった“日常のメリット”を伝えると、通う価値がより具体的に伝わり、離反を防ぎやすくなります。
サービス品質を高めるスタッフ教育と仕組み
リピート率は、施術者だけでなくスタッフ全体の対応力にも大きく左右されます。受付での挨拶や声かけ、電話対応、清掃の仕方など、細部まで統一感のある接遇ができている院は、それだけで印象が良くなり、再来意欲を高めます。
特に重要なのは、「患者一人ひとりの名前と症状を覚える」「来院時の小さな変化に気づく」といった“個別対応力”です。「この院は自分をきちんと見てくれている」と感じてもらえると、患者は自然と通い続けたくなります。
さらに、スタッフ全員が同じ方向性で患者対応できるよう、定期的なミーティングやマニュアル整備を行うことも効果的です。人に依存せず、仕組みとしてサービス品質を高めることが、安定した再来院率の土台になります。
身体の不調を根本から整える施術と再来院につながる理由

接骨院や整体院に通う患者の多くは、肩こりや腰痛、慢性的な疲労感など、長年抱えている不調に悩まされています。痛み止めやマッサージで一時的に緩和しても、時間が経つと再発してしまうケースが多いのが現実です。そこで注目されているのが、身体の歪みや筋肉バランス、自律神経の乱れなどに直接アプローチする「根本改善型の施術」です。ここでは、こうした施術がなぜ持続的な改善効果をもたらし、リピートにつながるのかを解説します。
根本改善に導く施術のメカニズム
整体や手技療法は、単に痛みを和らげることを目的とした対症療法ではありません。筋肉や関節、神経、血流などのバランスを整えることで「不調の原因そのもの」に働きかけるアプローチです。
特に、長時間のデスクワークや日常の姿勢の悪さから生じる筋緊張は、慢性的なコリや倦怠感の原因になります。施術によって筋肉の緊張がゆるみ、血液やリンパの流れが改善されると、老廃物の排出が促され、自然治癒力が高まります。さらに、自律神経のバランスが整うことで睡眠の質も改善され、再発しにくい身体づくりにつながります。
このような「原因から整える」アプローチは、施術を受けるごとに体の変化を実感できるため、患者の満足度を高める重要な要素となります。
効果を実感させる説明と提案の工夫
根本改善を目指す上で大切なのは、施術そのものの効果だけでなく、「患者が自分の身体を理解し、改善のプロセスを納得しているかどうか」です。初回カウンセリング時に、不調の原因や体の仕組み、なぜその施術が効果的なのかを模型や図で丁寧に説明することで、信頼感を築きやすくなります。
また、「初回は身体を整える準備段階」「3回目以降から体質改善が始まる」など、施術のステップを明確に伝えておくと、変化を感じやすくなり通院意欲も高まります。加えて、日常生活での姿勢やストレッチなどのアドバイスを行うことで、「通うことで確実に良くなっている」という実感を強めることができます。
改善体験が“再来院”のきっかけになる流れを作る
痛みや不調が軽減すると、多くの患者は「もっと良い状態を維持したい」「健康的な体を保ちたい」と考えるようになります。これは再来につながる大きなチャンスです。改善後のタイミングで、「再発予防」「姿勢改善」「パフォーマンス向上」など、次のステップを提案することで、通院目的を“治す”から“より良くなる”へと発展させることが可能です。
さらに、施術前後の写真や可動域データ、チェックシートなどで変化を「見える化」して共有すると、患者は自身の成長を実感し、通う価値を再確認します。その結果、「不調になったらここに来よう」と自然に思ってもらえるようになり、継続的な信頼関係を築くことができます。
患者離反を防ぎ、長期的な信頼関係を築くためのまとめ

患者が整骨院・鍼灸院を離れてしまう理由は、単に「効果がなかった」という一言で片付けられるものではありません。実際には、施術内容の伝え方、カウンセリングの質、予約のしやすさ、費用への納得感といった多くの要素が複雑に絡み合っています。だからこそ、離反対策は“ひとつの正解”ではなく、「施術力 × 説明力 × 仕組み」の三位一体で考えることが重要です。
離反防止は「施術力+説明力+仕組み化」の総合力
施術そのものの質を高めることはもちろん、患者が効果を理解しやすいような説明や、継続を後押しする通院システムの整備が欠かせません。たとえば、初診時のカウンセリングで信頼関係を築き、3回目までに体感をつくり、定期的なフィードバックで改善を“見える化”する――こうした一連の流れを院全体で仕組み化すれば、属人的な対応に頼らずとも、安定したリピート率が得られます。
さらに、予約・リマインド・ホームケアのサポートを自動化・簡略化すれば、患者は「通いやすさ」を感じ、自然と再来のハードルが下がります。つまり、離反を防ぐカギは“優れた施術”だけではなく、通院のすべての体験をトータルで設計することにあるのです。
継続率向上が経営を安定させる最大の武器となる
新規集客にコストをかけるよりも、既存患者の継続率を上げる方が、経営の安定性は大きく向上します。リピート患者が増えると、収益は予測しやすくなり、スタッフの教育・設備投資といった次の成長戦略にも余裕が生まれます。
さらに、信頼関係が深まった患者は口コミ・紹介を通じて新たな患者を連れてきてくれる可能性も高くなります。つまり、離反を防ぎ、継続率を高めることは、「経営の土台を強くする最も確実な方法」なのです。
患者が通い続けたいと思える整骨院・鍼灸院とは、単に“痛みを取る場所”ではなく、“人生の質を高めてくれるパートナー”のような存在です。施術の質だけでなく、説明や仕組み、体験の全てに意識を向けることで、患者との関係は一時的なものではなく、長期的な信頼と絆へと変わっていきます。今日から少しずつ取り組みを見直し、離反のない「選ばれ続ける院」への第一歩を踏み出してみましょう。



