キャリアアップ助成金 短時間労働者労働時間延長支援コース|新設コースのポイントと申請方法 令和7年度版~シリーズ⑧~

ブログ監修者

プランナー

棚橋和宏
(たなはしかずひろ)

【保有資格:医療経営士3級】

整骨院の開業・運営にかかる費用を少しでも抑えたい、補助金を活用したいとお考えの方へ。
私は医療機器販売と補助金申請支援の経験を活かし、整骨院経営を資金面からサポートしています。
「自院が対象になるのか分からない」「申請手続きが不安」そんなお悩みに丁寧に寄り添い、最適な制度選びから申請サポートまで対応。
補助金を活用することで設備投資や差別化が可能となり、経営の安定化にもつながります。
まずはお気軽にご相談ください。先生の想いを形にするお手伝いをさせていただきます。

短時間労働者労働時間延長支援コースとは?

制度の目的と背景

短時間労働者労働時間延長支援コースは、パートやアルバイトなどの短時間スタッフの労働時間を延ばし、社会保険への適用を進める取り組みを支援する新設コースです。短時間勤務では社会保険の加入要件を満たせないことが多く、スタッフは将来への不安を抱えやすい現状があります。この制度は、スタッフが社会保険に加入できる働き方を整え、安心して長く働ける環境をつくることを目的としています。

令和7年度の支給条件と助成額

令和7年度から新設されたこのコースでは、短時間労働者の労働時間を延長し、社会保険の適用を進めた事業者に対して助成金が支給されます。支給額は取り組みの内容や人数により異なりますが、社会保険適用に伴う事業主負担を軽減する仕組みになっています。申請には、計画書の作成、就業規則の整備、実際の賃金支払い実績などが必要です。

厚生労働省 短時間労働者労働時間延長支援コースパンフレットより抜粋


他のコースとの違い

正社員化コースや賃金規定等改定コースは、正規雇用への転換や基本給の引き上げを支援するものです。一方、この新設コースは「短時間労働者の労働時間を延長し、社会保険適用を実現する」ことを目的としています。スタッフの雇用を安定させ、社会保障を整えることで、長期的な人材確保を後押しする制度です。

社会保険適用時処遇改善コースからの切り替え申請ができる

社会保険適用時処遇改善コースは、従業員が社会保険に加入する際に、賃金の増加や手当の支給を通じて、手取り収入が減少しないようにすることを目的としているのに対して、短時間労働者労働時間延長支援コースは、特に短時間労働者が社会保険に加入するために労働時間を延長することを促進するための制度です。企業が短時間労働者の労働時間を延長し、賃金を引き上げることで、最大75万円の助成金が支給されます。このコースは、年収130万円の壁を意識した支援策として位置付けられています。

接骨院・鍼灸院での活用メリット

社会保険適用によるスタッフの安心感

接骨院や鍼灸院では、受付や施術補助を短時間勤務のスタッフでまかなうことが多いです。社会保険に加入できない働き方だと、健康保険や年金が不十分で将来に不安を感じやすくなります。労働時間を延長して社会保険を適用することで、スタッフに安心を届けることができます。働く上での信頼関係が生まれ、「ここで続けたい」という気持ちを育てられます。

離職率の低下と人材確保

待遇が不十分だと、経験を積んだスタッフが他の仕事に移ってしまうリスクが高まります。社会保険の適用は、短時間スタッフにとって大きなメリットです。将来への安心を提供することで離職率を下げ、長く働いてもらえる環境を整えられます。助成金を活用することで、労働時間延長に伴うコスト負担を軽減しつつ人材確保を実現できます。

地域で信頼される院づくり

スタッフが安心して働ける環境は、患者さんへの対応にも良い影響を与えます。いつも同じ顔ぶれで対応することは、患者さんに安心感を与え、信頼を築く基盤になります。社会保険適用を進めることで「スタッフを大切にする院」というイメージを地域に発信でき、選ばれる理由をつくることができます。

申請までの具体的な流れ

計画書作成と提出

助成金を活用するには、まず「キャリアアップ計画書」を作成します。この計画書には、どのスタッフを対象に労働時間を延長し、社会保険適用を目指すかを具体的に記載します。作成した計画書は、取り組み開始前日までに所轄の労働局やハローワークに提出する必要があります。事前申請が認められていないと助成金の対象外になるため、計画段階からしっかり準備を進めることが重要です。

労働時間延長の計画と実施

計画が認定されたら、スタッフの労働時間を延長する取り組みを進めます。社会保険の加入要件を満たすためには、一定の労働時間が必要です。スタッフとしっかり話し合い、無理のない範囲で延長を進めることがポイントです。労働契約の変更や就業規則への反映も忘れずに行います。

社会保険適用の手続き

労働時間を延長し、要件をクリアしたら社会保険への加入手続きを行います。健康保険と厚生年金の加入手続きは社会保険事務所で行い、スタッフへの説明も丁寧に行うことで不安を解消します。社会保険への適用は大きな変化なので、スタッフの理解を得ながら進めることが大切です。

証憑管理と支払い実績

処遇改善を進めた後は、賃金台帳、勤怠記録、雇用契約書、社会保険加入証明などの証拠書類を整備します。これらは助成金の申請時に提出が必要な大切な資料です。日頃から正確に記録し、管理することでスムーズな申請につなげられます。

支給申請と審査

労働時間を延長し、社会保険を適用した後は、所定の期限内に支給申請を行います。必要書類をすべて揃え、所轄の労働局へ提出します。書類審査を経て問題がなければ助成金が支給されます。スケジュールを逆算して計画書提出から支給申請までの流れを管理し、段階ごとに漏れがないよう進めることが大切です。

申請時の必要書類と注意点

必要書類一覧

短時間労働者労働時間延長支援コースを申請する際には、さまざまな書類をそろえる必要があります。代表的なものは支給申請書、支給要件確認申立書、短時間労働者労働時間延長支援コース内訳です。さらに、雇用契約書、賃金台帳、勤怠記録、社会保険加入証明、就業規則の写しなども必要です。これらは実際に処遇を改善し、社会保険適用を進めた証拠として審査で確認されます。

書類管理と整備のポイント

助成金をスムーズに受け取るには、日頃から書類を正確に管理する習慣が重要です。就業規則は最新の内容を常に維持し、改定時には労働基準監督署へ届け出ます。賃金台帳や勤怠記録、社会保険の加入証明は細かくチェックされるため、記載漏れや誤りがないように管理します。スタッフとの面談記録や同意書も保管しておくことで、後々のトラブルを防止できます。

申請ミスを防ぐコツ

よくあるミスとして、計画書を事前に提出せずに取り組みを進めてしまうケースがあります。助成金は事前申請が必須で、後から届け出ることはできません。また、就業規則に労働時間延長や社会保険適用の内容が反映されていない、賃金台帳に記録が不足しているなどの不備も多く見られます。これを防ぐためには、スケジュールを逆算して余裕を持って準備を進め、チェックリストを活用することが大切です。不安がある場合は専門家に相談するのも良い選択です。

接骨院・鍼灸院での活用事例イメージ

受付スタッフの労働時間延長例

接骨院や鍼灸院では、受付業務をパートタイムで担当するスタッフが多くいます。受付スタッフの労働時間を延長し、社会保険適用を進めることで、スタッフにとっての安心感を高められます。助成金を活用することで、延長に伴う人件費の負担を軽減しつつ、スタッフのモチベーションを引き上げることができます。

施術補助スタッフの社会保険適用

施術補助スタッフは院のサービス品質を支える大切な役割を果たしています。労働時間を延長し、社会保険を適用することで、「長く働きたい」と思ってもらえる職場をつくれます。助成金を活用すれば、労働時間延長に伴うコスト負担を抑えつつ、スタッフの将来への安心を提供できます。

小規模院での段階的な取り組み

規模の小さい接骨院や鍼灸院では、一度に全スタッフの労働時間を延長するのは現実的に難しい場合があります。まずは1人目の社会保険適用を目指し、段階的に進めることで無理なく取り組みを進められます。助成金を利用することで、コストを抑えつつ、地域に選ばれる院づくりを支える環境整備が可能です。

まとめ|社会保険適用でスタッフと院の未来を支える

接骨院や鍼灸院が地域に根ざし、患者さんから選ばれ続けるためには、スタッフが安心して長く働ける環境を整えることが重要です。短時間労働者の労働時間を延長し、社会保険を適用することで、スタッフに将来への安心感を提供できます。こうした取り組みは、スタッフのモチベーションを高め、離職を防ぐ大きな力になります。

短時間労働者労働時間延長支援コースを活用すれば、社会保険適用に伴う経営負担を軽減しつつ、無理なく労働時間を延ばすことが可能です。令和7年度の新設コースとして、接骨院や鍼灸院の経営者がこれからの人材戦略を考えるうえで強力な味方となります。

スタッフを大切にし、地域から信頼される院を目指すために、この制度を前向きに活用してみてください。計画書の提出や就業規則の整備、スタッフとの対話を丁寧に進めることで、院の未来を支える土台を築いていきましょう。

LINE登録