【まとめ】接骨院・鍼灸院がキャリアアップ助成金を活用して安定経営を目指す方法 令和7年度版~シリーズ⑩~

ブログ監修者

プランナー

棚橋和宏
(たなはしかずひろ)

【保有資格:医療経営士3級】

整骨院の開業・運営にかかる費用を少しでも抑えたい、補助金を活用したいとお考えの方へ。
私は医療機器販売と補助金申請支援の経験を活かし、整骨院経営を資金面からサポートしています。
「自院が対象になるのか分からない」「申請手続きが不安」そんなお悩みに丁寧に寄り添い、最適な制度選びから申請サポートまで対応。
補助金を活用することで設備投資や差別化が可能となり、経営の安定化にもつながります。
まずはお気軽にご相談ください。先生の想いを形にするお手伝いをさせていただきます。

なぜ助成金活用が経営安定に必要なのか

人材不足と離職率の課題

接骨院や鍼灸院では、受付や施術補助を担当するスタッフをパートやアルバイトで雇用することが多いです。しかし非正規雇用は待遇面の不安が大きく、離職率が高くなる傾向があります。経験を積んだスタッフが辞めてしまうと、患者さんへの対応やサービス品質に影響が出てしまい、院全体の経営にも悪影響を及ぼします。

処遇改善がスタッフ定着のカギ

スタッフが安心して長く働くためには、待遇面での不安を取り除くことが重要です。正社員化、賃金の引上げ、社会保険の適用、賞与や退職金制度など、働く人の立場になって制度を整えることで「ここで続けたい」と思ってもらえる職場をつくれます。人材が定着すれば教育コストも抑えられ、安定したサービス提供が可能になります。

経営負担を減らすための公的支援の重要性

とはいえ、小規模な接骨院・鍼灸院にとって、処遇改善はコスト負担が大きな課題です。そんなときに活用したいのがキャリアアップ助成金をはじめとする公的支援です。助成金を上手に利用すれば、スタッフへの還元を進めながら経営の負担を軽減できます。院の成長とスタッフの安心を両立するために、公的支援を味方に付けることが重要です。

接骨院・鍼灸院で活用できる主要な助成金

キャリアアップ助成金の概要

キャリアアップ助成金は、非正規雇用スタッフの処遇改善を目的に設けられた制度です。有期雇用や短時間労働のスタッフを正社員化したり、賃金を引き上げたり、社会保険の適用を進める取り組みに対して助成金が支給されます。スタッフにとっての安心感を高め、院としての魅力を上げるために非常に有効な支援策です。

令和7年度の主な支援内容

令和7年度では重点支援対象者への加算や短時間労働者労働時間延長支援コースなど、新たな取り組みを後押しする制度が拡充されています。社会保険適用を進めたり、賞与・退職金制度を導入したりと、より幅広い処遇改善を支援する内容になっています。接骨院や鍼灸院のような小規模事業者でも活用しやすいよう設計されています。

その他検討したい制度

キャリアアップ助成金以外にも、各自治体が独自に実施する中小企業支援制度や、雇用調整助成金、業務改善助成金、小規模事業者持続化補助金、ものづくり補助金など、経営を支えるさまざまな制度があります。自院の状況に応じて、どの助成金や補助金を組み合わせて活用するかを検討することで、より持続可能な経営が実現できます。

キャリアアップ助成金のコース別活用例

正社員化コースで受付スタッフを定着

受付スタッフは患者さんと最初に接する大切な存在ですが、パートタイムや有期契約で雇用することが多いです。正社員化コースを活用して正規雇用に切り替えることで、安定した働き方を提供できます。スタッフの安心感が増し、長期的に働きたいと思える環境を整えることで離職率の低下につながります。

賃金規定等改定・共通化コースで処遇を公平に

スタッフ間で賃金ルールが不透明だと、不満やモチベーション低下の原因になります。賃金規定等改定・共通化コースを使えば、有期契約スタッフの基本給を引き上げたり、正社員との共通規定を整えたりする取り組みを支援できます。公平なルールをつくることで、スタッフ全体の信頼感が高まります。

社会保険適用支援コースで安心感を提供

短時間スタッフは社会保険への加入条件を満たさず、将来への不安を抱えやすいです。社会保険適用時処遇改善コースや短時間労働者労働時間延長支援コースを活用することで、労働時間を延ばして社会保険を適用し、安心できる働き方を実現します。助成金を使えば経営負担を抑えつつ進められます。

賞与・退職金制度導入コースで福利厚生を充実

非正規スタッフは賞与や退職金がないことが多く、将来への不安を抱きやすいです。賞与・退職金制度導入コースを使えば、新たに福利厚生制度を設ける際の費用負担を軽減できます。スタッフが「この院で長く働きたい」と思える環境づくりに貢献します。

申請を進めるためのステップ

計画書作成と提出

助成金申請の第一歩は「キャリアアップ計画書」の作成です。どのスタッフを対象に、どんな処遇改善を行うかを具体的にまとめます。作成した計画書は取り組みを始める前日までに所轄の労働局やハローワークへ提出する必要があります。ここを飛ばすと助成金は受け取れないため、最初の段階でしっかり準備することが大切です。

就業規則の改定

正社員転換制度や賃金規定、社会保険適用の内容を就業規則にしっかり盛り込みます。改定した就業規則はスタッフに周知し、労働基準監督署へ届け出る必要があります。スタッフの理解を得ながら進めることで、取り組みをスムーズに実現できます。

実施記録と証憑管理

計画が認定され、就業規則が整ったら実際に取り組みを進めます。正社員転換、賃金引上げ、労働時間延長などの処遇改善を実施し、その記録をしっかり残します。賃金台帳、勤怠記録、雇用契約書など証拠となる書類を整備しておくことで、後の申請時に慌てずに済みます。

支給申請と審査

6か月間の賃金支払い実績を整えたら、所定の期限内に支給申請を行います。必要書類をそろえて所轄の労働局へ提出し、審査を受けます。問題がなければ助成金が振り込まれます。全体のスケジュールを逆算して、計画書提出から支給申請までの流れを管理することが成功のポイントです。

成功事例に学ぶ活用ポイント

小規模院でもできる段階的導入

小規模な接骨院や鍼灸院では、一度に全スタッフを正社員化したり、賃金を大きく引き上げるのは難しい場合があります。そんなときは、まず1人目から始める段階的な取り組みが効果的です。助成金を活用することで初期コストを抑えつつ、無理のないペースで処遇改善を進められます。

スタッフとの信頼関係を築くコミュニケーション

処遇改善を進めるには、スタッフの理解と協力が不可欠です。正社員化や社会保険適用は働き方に大きな影響を与えるため、しっかり説明し、疑問や不安を解消することが大切です。日頃からコミュニケーションを重ねることで信頼関係を築き、スムーズな制度導入を実現できます。

専門家への相談でミスを防ぐ

助成金申請は、計画書の提出から書類整備、スケジュール管理まで多くの手続きが必要です。不備があると申請が通らなかったり、支給が遅れたりするリスクもあります。社会保険労務士などの専門家に相談することで、書類作成やスケジュール管理をスムーズに進められ、安心して申請を進められます。

まとめ|助成金を味方に安定経営を実現しよう

接骨院や鍼灸院が地域で選ばれ、安定した経営を続けるためには、スタッフが安心して働ける職場づくりが欠かせません。正社員化や賃金引上げ、社会保険の適用など、処遇改善はスタッフのモチベーションを高め、離職を防ぐための重要な取り組みです。

ただ、こうした改善にはコストがかかるため、経営負担を考えると躊躇してしまうケースも少なくありません。そんなときこそ、キャリアアップ助成金をはじめとする公的支援を活用することが大切です。助成金を上手に利用すれば、経営負担を抑えながらスタッフへの還元を進め、院全体の信頼を高めることができます。

地域に根ざし、患者さんから選ばれる院を目指して。助成金という仕組みを味方に付けて、スタッフの未来を支える経営を実現していきましょう。

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