キャリアアップ助成金 賃金規定等改定コースとは?非正規スタッフの処遇改善をサポート 令和7年度版~シリーズ④~
ブログ監修者

プランナー
棚橋和宏
(たなはしかずひろ)
【保有資格:医療経営士3級】

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Contents
賃金規定等改定コースの概要

制度の目的と背景
賃金規定等改定コースは、有期雇用スタッフの基本給を引き上げる取り組みを支援する助成金制度です。パートや有期契約のスタッフは、安定した給与や待遇が得られにくいことが多く、これが離職の原因になることもあります。こうした課題を解決するために、事業主が賃金規定を見直し、処遇改善を進める際の負担を減らすのがこの制度の狙いです。
令和7年度の支給条件と助成額
令和7年度では、有期雇用労働者の基本給を3%以上引き上げた場合に助成金が支給されます。中小企業の場合、引き上げ率によって支給額が決まり、3%以上4%未満の場合4万円、4%以上5%未満の場合5万円、5%以上6%未満の場合6.5万円、6%以上は7万円の助成を受けられます。申請には、賃金規定をきちんと改定し、実際に支払いを行った実績を証明する必要があります。

厚生労働省キャリアアップ助成金パンフレットより抜粋
接骨院・鍼灸院が対象になる理由
接骨院や鍼灸院では、受付スタッフや施術補助などをパートタイムで雇うケースが多く見られます。こうしたスタッフの待遇を改善することで、安心して長く働ける環境を整えられます。経営者にとっても、人材が定着しやすくなることで教育コストを抑えられ、院全体のサービス品質を高める好循環をつくることができます。
賃金規定を見直すメリット

スタッフのモチベーション向上
非正規スタッフにとって、給与は大きなモチベーションの要素です。賃金規定を見直して基本給を引き上げることで、仕事への意欲が高まります。給与が上がることで「この職場で続けたい」という気持ちを育てられ、院全体の雰囲気もより前向きになります。患者さんへの対応にも良い影響を与え、信頼を築く基盤になります。
離職率の低下と人材定着
パートや契約スタッフが短期間で辞めてしまうことは、接骨院や鍼灸院の大きな課題です。給与水準を上げることは、働く人にとっての安心感につながります。待遇が良くなることで、他の職場へ移る理由が減り、長く働いてもらえる可能性が高まります。結果として採用活動や教育にかかる負担も減り、経営の安定化に貢献します。
サービス品質の安定化
スタッフが長く働き、経験を積むことで施術補助や受付対応の質が向上します。接骨院や鍼灸院では、患者さんとのコミュニケーションが大きな価値を生むため、顔なじみのスタッフがいる安心感は大きな強みです。賃金規定を見直し、スタッフを大切にすることでサービス品質を高め、地域で選ばれる院づくりを進められます。
申請までの具体的な流れ

計画書の作成と提出
助成金を受けるためには、まず「キャリアアップ計画書」を作成する必要があります。この計画書には、どのスタッフを対象に、どのように賃金規定を改定するかを具体的に記載します。取り組みを始める前日までに所轄の労働局やハローワークへ提出することが求められます。事前に届け出をしないと助成金の対象にならないため、計画段階から余裕を持って準備を進めましょう。
賃金規定の改定と届け出
計画書の提出後は、実際に賃金規定を改定します。非正規スタッフの基本給を3%以上引き上げる内容を明確にし、就業規則に反映させます。改定した就業規則は労働基準監督署に届け出が必要です。この手続きを怠ると、助成金の申請時に不備と判断されてしまう恐れがあります。正確な内容を記載し、期限を守って届け出ることが重要です。
改定後の賃金支払い実績
就業規則を改定し、届け出を終えたら、実際に新しい規定に基づいて賃金を支払います。この賃金引き上げを実施した実績が助成金申請の必須条件です。賃金台帳や支払い明細書などを整備し、後で証拠として提出できるよう管理しておくことが大切です。スタッフへの説明や同意も丁寧に行い、トラブルを防ぎましょう。
支給申請と審査
改定後の賃金を支払った実績が整ったら、所定の期限内に支給申請を行います。必要な書類をすべて揃え、所轄の労働局へ提出します。申請書類は細かくチェックされ、問題がなければ助成金が支給されます。スムーズに進めるためには、計画段階から書類の整理やスケジュール管理をしっかり行うことが欠かせません。
申請時の必要書類と注意点

必要書類一覧
賃金規定等改定コースを申請する際には、多くの書類を準備する必要があります。代表的なものとして、支給申請書、支給要件確認申立書、賃金規定等改定コース内訳などが求められます。さらに、改定後の就業規則の写し、賃金台帳、雇用契約書、支払い明細書、源泉徴収簿など、賃金支払いの事実を証明する書類が欠かせません。申請内容によっては、労働者名簿や身元確認書類も必要になります。
書類管理と整備のポイント
助成金をスムーズに受給するためには、日頃から書類を整理し管理する習慣が重要です。就業規則は常に最新の内容を反映し、労働基準監督署への届け出も忘れないようにします。賃金台帳や勤怠記録は申請時に審査されるため、日々の記録を正確に保つことが大切です。スタッフへの説明や同意を得た書類も、トラブルを防ぐ上でしっかりと管理しましょう。
申請ミスを防ぐコツ
助成金の申請でよくあるのが、計画書の事前提出を忘れてしまうことや、就業規則が古いままになっていることです。また、賃金台帳に記載漏れがあったり、必要な書類が不足していたりすると、申請が受理されず再提出が必要になります。これを防ぐには、スケジュールを逆算して余裕を持って準備することがポイントです。チェックリストを活用し、専門家に相談することで安心して申請を進められます。
接骨院・鍼灸院での活用事例イメージ

受付スタッフの処遇改善
接骨院や鍼灸院の受付業務は、患者さんとの最初の接点を担う大切な役割です。パートタイムで働くスタッフが多いですが、賃金規定を見直して基本給を上げることで「長く働きたい」と思ってもらえる環境をつくれます。助成金を活用すれば、給与引き上げによる経営負担を軽減しつつ、スタッフのモチベーションを高められます。患者さんへの丁寧な対応が院の信頼を築く土台となります。
施術補助スタッフの賃金引上げ
施術を支える補助スタッフは、治療の流れをスムーズにし、患者さんの満足度を高める重要な存在です。賃金を引き上げることで、他の職場に移る理由を減らし、長く経験を積んでもらうことが可能になります。助成金を活用することで、処遇改善を現実的に進められ、院全体のサービスレベルを底上げできます。
小規模院での段階的な取り組み
規模の小さい接骨院や鍼灸院では、一度に全スタッフの賃金を上げるのは難しい場合もあります。まずは1人目から計画的に進めることで、助成金を活用しながら無理のない形で処遇改善を実現できます。段階的に制度を整え、スタッフが安心して働ける職場をつくることが、患者さんに選ばれる院づくりにつながります。
まとめ|経営改善とスタッフ満足度向上を両立するために
接骨院や鍼灸院にとって、非正規スタッフの処遇改善は大きな課題のひとつです。賃金規定等改定コースを活用することで、経営負担を抑えながら基本給を引き上げ、働きやすい環境を整えることができます。スタッフが安心して長く働ける職場をつくることで、教育の効率化やサービス品質の向上を実現し、患者さんから選ばれる院づくりを後押しします。
令和7年度の制度では、賃金を3%以上引き上げた際に助成金を受け取れる仕組みが整っており、計画書の提出や就業規則の整備など、しっかりとした準備を進めることが成功のカギです。経営者としての視点で、スタッフの未来を支え、院の成長を考えるために、この制度をぜひ前向きに活用してください。申請に不安があれば専門家への相談も視野に入れながら、一歩ずつ準備を進めていきましょう。