キャリアアップ助成金 賞与・退職金制度導入コース|福利厚生を強化して人材を定着 令和7年度版~シリーズ⑥~

ブログ監修者

プランナー

棚橋和宏
(たなはしかずひろ)

【保有資格:医療経営士3級】

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賞与・退職金制度導入コースとは?

制度の目的と背景

賞与・退職金制度導入コースは、パートや有期契約のスタッフを含めた非正規雇用労働者に対し、賞与や退職金制度を新たに設ける取り組みを支援する制度です。非正規スタッフは正社員に比べて福利厚生が薄くなりがちで、その待遇差が離職の原因になることもあります。こうした問題を解消し、長く安心して働ける職場づくりを後押しすることが、この制度の大きな目的です。

令和7年度の支給条件と助成額

令和7年度版では、非正規スタッフに対する賞与または退職金制度を新たに導入し、実際に支払いを行った事業主が助成金の対象となります。支給額は、賞与又は退職金制度いずれかを導入した場合は最大40万円、賞与及び退職金制度を同時に導入した場合は最大56万8千円です。制度設計や就業規則への明記、実際の支払い実績が重要な要件です。計画書の提出や就業規則の整備なども必須となるため、事前準備が欠かせません。

他のコースとの違い

正社員化コースや賃金規定等改定コースは、主に基本給の引き上げや正社員転換を支援する制度です。一方、賞与・退職金制度導入コースは、非正規スタッフを含めた全体の福利厚生を底上げする取り組みを支援します。給与とは別に将来の安心を提供する制度を導入することで、スタッフに「長く働きたい」と思ってもらえる職場を実現するのがこのコースの特徴です。

接骨院・鍼灸院での導入メリット

スタッフの安心感とモチベーション

接骨院や鍼灸院では、受付や施術補助など非正規スタッフを雇うケースが多いです。こうしたスタッフは、正社員に比べて将来の不安を感じやすく、安定した雇用を求めています。賞与や退職金制度を導入することで、働く上での安心感が増し、「ここで続けたい」と思える職場になります。福利厚生の充実は、スタッフのモチベーションを高める大きな要素です。

長期雇用の促進

人手不足が課題となる接骨院・鍼灸院では、スタッフの定着は経営の重要なテーマです。待遇に不満があると短期離職につながりやすく、採用や教育にかかるコストが増えます。賞与や退職金制度を整えることで、長く働く理由をスタッフに提供でき、結果として院全体の安定経営につながります。

地域で選ばれる院づくり

スタッフが安心して働ける職場は、患者さんへの対応にも良い影響を与えます。いつも同じスタッフが笑顔で迎えてくれることは、患者さんにとって大きな安心感になります。福利厚生を整えることで院のイメージも向上し、地域で信頼され、選ばれる院づくりを後押しします。

申請までの具体的な流れ

計画書の作成と提出

助成金を活用するには、まず「キャリアアップ計画書」を作成します。この計画書には、どのスタッフを対象に賞与や退職金制度を導入するか、どのような内容で進めるかを具体的に記載します。取り組みを始める前日までに、所轄の労働局やハローワークに提出する必要があります。事前の届け出を怠ると助成金の対象外になるため、計画段階から準備を進めることが重要です。

賞与・退職金制度の設計

計画書の提出後は、実際に賞与や退職金制度を設計します。どの条件で支給するか、対象者は誰か、支給額やタイミングなどを具体的に決めます。非正規スタッフにも適用する内容にし、院全体で同じ基準を持つことがポイントです。制度を設計する際には、スタッフへの説明や同意を得ることも大切です。

就業規則への反映と届け出

設計した制度を就業規則に明記します。賞与や退職金制度の内容をはっきりと記載し、全スタッフに周知します。就業規則を改定した場合は、労働基準監督署への届け出が必要です。届け出を怠ると、助成金申請時に不備とされる可能性があるため、忘れずに手続きを行います。

実際の支払い実績

就業規則の整備と届け出を終えたら、実際に賞与や退職金を支払います。これが助成金の支給要件になります。賃金台帳、支払い明細書などをしっかり管理し、後で証拠として提出できるように準備します。スタッフへの説明や支払いのタイミングを調整し、スムーズな運用を心がけましょう。

支給申請と審査

実績を整えたら、所定の期限内に支給申請を行います。必要な書類を揃え、所轄の労働局へ提出します。書類審査を経て問題がなければ助成金が振り込まれます。スムーズな申請のためには、計画書提出から支払いまでの流れを逆算し、スケジュールを管理することが成功のカギです。

申請時の必要書類と注意点

必要書類一覧

賞与・退職金制度導入コースを申請する際には、さまざまな書類を揃える必要があります。代表的なものは、支給申請書、支給要件確認申立書、賞与・退職金制度導入コース内訳です。さらに、改定後の就業規則の写し、賃金台帳、雇用契約書、出勤簿、支払い明細書など、賞与や退職金を実際に支払ったことを示す書類が求められます。

書類管理と整備のポイント

助成金をスムーズに受け取るためには、日頃から書類を整理し管理することが大切です。就業規則は最新の内容を常に維持し、改定時には必ず労働基準監督署に届け出ます。賃金台帳や支払い明細書は審査時に重要な証拠となるため、記載漏れや間違いがないように注意します。スタッフとの面談記録や同意書も、トラブル防止のために保管しておきましょう。

申請ミスを防ぐコツ

よくあるミスのひとつは、計画書を事前に提出せずに取り組みを進めてしまうことです。助成金は事前申請が必須で、後から届け出をすることはできません。また、就業規則に賞与や退職金制度の内容が反映されていない、賃金台帳に支払いの記録がないといったケースも多いです。こうしたミスを防ぐには、スケジュールを逆算して準備を進め、チェックリストを使って一つひとつ確認することがポイントです。不安があれば専門家に相談するのも良い方法です。

接骨院・鍼灸院での活用事例イメージ

受付スタッフへの賞与制度導入

接骨院や鍼灸院では、受付スタッフが患者さんの第一印象を決める大切な役割を担います。しかし、パートや有期契約で働くケースが多く、賞与がない職場も少なくありません。新たに賞与制度を導入することで、スタッフに「評価されている」と感じてもらえ、仕事への意欲が高まります。助成金を活用することで経営負担を抑えつつ、制度の整備を進められます。

施術補助スタッフへの退職金制度設計

施術を支える補助スタッフは、院のサービス品質を左右する大切な存在です。しかし待遇が十分でないと、他の仕事に移るリスクが高まります。退職金制度を設計し、長く働いたスタッフに将来の安心を提供することで、定着率を高められます。助成金を利用することで、制度設計や初期コストを軽減しながら、経営改善につなげることが可能です。

小規模院での段階的な取り組み

規模の小さい接骨院や鍼灸院では、一度に全スタッフに賞与・退職金制度を導入するのは負担が大きい場合もあります。まずは1人目から段階的に取り組むことで、経営への負担を分散しながら制度を整備できます。助成金を活用すれば、コストを抑えつつスタッフが安心して働ける職場を目指せます。

まとめ|福利厚生を整えてスタッフに選ばれる院へ

接骨院や鍼灸院を安定して運営するためには、スタッフが安心して長く働ける環境をつくることが欠かせません。賞与や退職金制度は、その安心感を支える重要な仕組みです。非正規スタッフを含めた全員に公平な待遇を用意することで、モチベーションが高まり、患者さんへのサービス品質も向上します。

賞与・退職金制度導入コースを活用すれば、こうした制度を整備する際の経営負担を軽減できます。令和7年度版では、計画書の提出や就業規則の改定、実際の支払いなどをしっかり準備することが求められますが、助成金を利用することで実現可能性が高まります。

地域に根ざした院づくりを進め、スタッフにも患者さんにも選ばれる院を目指すために、この制度を前向きに検討してみてください。不安がある場合は専門家に相談し、一歩ずつ準備を進めていきましょう。

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