キャリアアップ助成金とは?接骨院・鍼灸院でも活用できる制度の全体像 令和7年度版 ~シリーズ①~
ブログ監修者

プランナー
棚橋和宏
(たなはしかずひろ)
【保有資格:医療経営士3級】

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Contents
キャリアアップ助成金の基本概要

制度の目的と背景
キャリアアップ助成金は、有期雇用労働者、短時間労働者、派遣労働者といった、非正規雇用のスタッフを正社員にする取り組みを支援する制度です。接骨院や鍼灸院でも多くのスタッフをパートや有期契約で雇っている場合があります。そのスタッフを正社員にすることで、長く働いてもらいやすくなり、サービスの質を上げることができます。
令和7年度版では、キャリアアップ計画書の取り扱いが簡素化され、より積極的な雇用転換を後押しする形になっています。
令和7年度の主な変更点
2025年4月から改正されたキャリアアップ助成金では、重点支援対象者を正社員にした場合の助成額が従来と同様の80万円(有期→正規の場合、2期分)・40万円(無期→正規の場合、2期分)ですが、それ以外の対象者については、1期分のみの支給に変更され、有期→正規で40万円、無期→正規で20万円へと実質的に半額に引き下げられます。この変更は2025年4月以降に正社員転換を行った場合に適用されます。また、新卒者については1年未満の正社員転換は対象外になるなど、制度の適用条件が明確になっています。
接骨院・鍼灸院が対象になる理由
接骨院や鍼灸院では、受付スタッフや施術補助のスタッフをパートや有期契約で雇うケースが少なくありません。しかし人手不足の中でスタッフの定着は大きな課題です。キャリアアップ助成金を活用することで、正社員化や処遇改善を進めやすくなり、結果的に患者さんへのサービス向上や院の安定経営につなげることができます。
キャリアアップ助成金の仕組みと活用イメージ

助成金が支給されるタイミング
キャリアアップ助成金は、正社員転換や処遇改善を行ったあと、一定期間の賃金を支払い終えた段階で申請します。例えば、スタッフを正社員に転換した場合、その後6か月間しっかりと給与を支払い、その記録をそろえてから2か月以内に申請します。審査を経て問題がなければ、助成金が指定の口座に振り込まれる流れです。先にお金がもらえるのではなく、取り組みを実施してから支給を受ける仕組みになっています。
どんな取り組みが対象になるか
対象となる取り組みは大きく分けて、正社員化や賃金の引き上げ、社会保険への適用拡大などがあります。接骨院や鍼灸院でパートタイムや有期雇用のスタッフを正社員に転換したり、基本給を3%以上上げたりすることが支給対象になります。また、短時間勤務のスタッフの労働時間を延ばして社会保険に加入させる場合なども対象になるコースがあります。院の状況に合わせて、最適なコースを選ぶことが大切です。
具体的な支給額の例
令和7年度の改正により、重点支援対象者を正社員化すると1人あたり最大80万円が支給されます。さらに、初めて正社員転換制度を申請する場合は20万円が加算され、合計100万円を受け取れるケースもあります。賃金規定を改定して3%以上基本給を上げた場合には、規模や引き上げ率に応じて4万円から7万円程度が支給されます。社会保険適用を進めた場合も条件に応じて助成が出ますので、複数の取り組みを組み合わせて申請することも可能です。
接骨院・鍼灸院が活用するメリット

スタッフ定着と人材採用コスト削減
接骨院や鍼灸院は、スタッフの入れ替わりが経営課題になることが多いです。非正規スタッフを正社員にすることで、安定して長く働いてもらえる関係を築けます。安心して働ける職場は離職率が下がり、結果的に新たな人材を採用するためのコストや労力も減らせます。スタッフのモチベーションも上がり、患者さんへの対応がより良くなるでしょう。
資金繰りの改善と設備投資の計画
助成金を活用することで、人件費の負担を抑えながら処遇改善や正社員化ができます。浮いた資金を別の用途に回すことができるため、たとえば治療機器の更新や院内改装などの投資計画も立てやすくなります。経営に余裕が出ることで、将来のビジョンを実現するための選択肢を増やせます。
地域で選ばれる院づくりへの貢献
待遇の良い職場はスタッフの定着だけでなく、院全体のサービス品質にも直結します。スタッフの教育や経験が蓄積され、患者さんへの対応力が向上することで、地域で「信頼できる治療院」という評判を得られるようになります。助成金はそのための仕組みづくりを後押ししてくれる支援策です。
申請時のポイントと注意点

計画書の事前提出が必須
キャリアアップ助成金を利用するためには、最初に「キャリアアップ計画書」を作成し、所轄の労働局やハローワークに届け出をする必要があります。この提出は、実際に正社員転換や処遇改善を行う前日までに完了させる必要があります。つまり、あとから「やりました」では申請できない仕組みです。これを忘れると助成金の対象外になってしまうので、事前準備がとても重要です。
就業規則や賃金規定の整備
助成金を申請するためには、正社員転換制度や賃金規定の改定を就業規則に明記する必要があります。また、その就業規則は労働基準監督署に届け出ておかなければなりません。これを怠ると、せっかく計画書を提出しても助成金が認められないことがあります。制度の見直しと書類の整備を並行して進めることがポイントです。
書類不備や期限遅れを防ぐコツ
申請には多くの書類が必要で、賃金台帳や雇用契約書、就業規則のコピーなど細かい書類も求められます。申請書類が不足していたり、期限を過ぎたりすると受理されず、再提出を求められることになります。結果として助成金の受給が大きく遅れるリスクもあります。提出前にチェックリストを作って一つひとつ確認するなど、慎重に準備を進めることが成功への近道です。
接骨院・鍼灸院でも実践可能な活用例

正社員化による助成金活用
接骨院や鍼灸院では、受付スタッフや施術補助などをパートや有期契約で雇うことが多いです。そのスタッフを正社員に転換することで、安定した雇用環境をつくりつつ助成金を受け取ることができます。スタッフも安心して働けるようになり、サービスの質も向上します。重点支援対象者なら1人あたり80万円、初めての申請ならさらに加算があり、大きな支援を受けられるのが魅力です。
賃金規定の見直しで処遇改善
有期雇用のスタッフの基本給を3%以上引き上げる場合も助成金の対象になります。これまでなかなか賃上げに踏み切れなかった場合でも、助成金を活用することで負担を軽減しながら処遇を改善できます。スタッフのモチベーションアップや定着率の向上にもつながり、患者さんからの信頼にも良い影響を与えます。
社会保険適用拡大の取り組み
短時間労働者を社会保険に適用させる取り組みも支援対象です。労働時間を延長して社会保険に加入させる場合や、賃上げによって適用要件を満たす場合に助成が出ます。社会保険に加入することでスタッフの安心感が増し、長く働いてもらえる職場づくりを進められます。人材不足の中で、安定した戦力を確保するための大切な施策と言えます。
まとめ|キャリアアップ助成金を経営改善の武器に
キャリアアップ助成金は、接骨院や鍼灸院が抱える人材確保や定着の課題を解決するための強力な支援策です。非正規スタッフを正社員にする取り組みや、賃金規定の見直し、社会保険の適用拡大など、さまざまな形で活用できます。
キャリアアップ助成金には、様々なコースが用意されており、各々申請要件が異なります。
各コースごとに解説していきますので、自院に合ったコースをご検討下さい。