物療機器の購入とリース、どちらが得?接骨院が知るべき5つの判断基準

ブログ監修者

プランナー

棚橋和宏
(たなはしかずひろ)

【保有資格:医療経営士3級】

整骨院の開業・運営にかかる費用を少しでも抑えたい、補助金を活用したいとお考えの方へ。
私は医療機器販売と補助金申請支援の経験を活かし、整骨院経営を資金面からサポートしています。
「自院が対象になるのか分からない」「申請手続きが不安」そんなお悩みに丁寧に寄り添い、最適な制度選びから申請サポートまで対応。
補助金を活用することで設備投資や差別化が可能となり、経営の安定化にもつながります。
まずはお気軽にご相談ください。先生の想いを形にするお手伝いをさせていただきます。

Contents

物療機器の導入前に知っておきたいリースと購入の違い

リースとは?仕組みと特徴を解説

リースとは、物療機器を月々の料金で一定期間借りる契約形態のことです。接骨院や鍼灸院では、超音波治療器や干渉波など高額な機器を導入する際に、初期費用を抑えるためにリース契約を選ぶケースが増えています。契約期間は5〜6年程度が一般的で、その間、機器の所有権はリース会社にあります。

リースの特徴は、月々の固定支払いで資金繰りの予測がしやすいこと、そして固定資産としての計上が不要である点です。また、契約終了後は返却する必要がありますが、新たな機器への切り替えがしやすいため、最新機種を常に導入したい院には向いています。

購入とは?資産としての扱いと導入の流れ

一方、購入とは、機器の所有権をすべて自院が持つ形式です。機器の代金を一括または分割で支払い、以降は自由に使用できます。耐用年数が長く、長期間にわたって使い続ける予定の機器であれば、購入によって結果的にコストが抑えられるケースも多くあります。

購入した機器は、資産として会計上の帳簿に計上され、減価償却の対象となります。また、管理や保守の責任も自院側にあるため、メンテナンス体制の整備も重要です。

リースと購入の大きな違いとは?

所有権の有無

リースでは機器の所有者はリース会社であり、契約終了後は原則として返却が必要です。一方、購入すれば所有権が自院に移るため、自由に使用・売却・廃棄が可能になります。

支払い総額とキャッシュフロー

リースは分割で支払うため、短期的には資金繰りが楽になりますが、トータルで見ると割高になることがあります。逆に購入は初期費用が大きくなる分、長期的にはコストが抑えられるケースが一般的です。

接骨院が判断すべき5つの比較ポイントとは?

初期費用と資金繰り

物療機器を導入する際に、最初に直面するのが初期費用の問題です。購入する場合はまとまった資金が必要になるため、自己資金に余裕があるか、または融資の活用を検討することになります。一方、リースなら初期費用を抑えることができ、開業間もない院でも導入しやすいのが特徴です。資金を広告や人件費にまわしたい院にとっては、大きな判断材料となります。

長期的なコストパフォーマンス

コスト面では、単純な支払い総額で比較した場合、購入のほうが経済的なケースが多いです。リースは分割払いの代わりに利息や手数料が含まれるため、長期間使う機器であれば、購入した方が結果的に安く済むことが少なくありません。ただし、数年ごとに買い替えたいと考えている場合は、リースの方がリスクを減らせる可能性もあります。

導入・更新のしやすさ

機器の進化が早い物療分野では、導入後の更新サイクルも重要です。リース契約であれば、契約満了時に新機種へ入れ替えることがスムーズにできるため、常に最新機器を使いたい院には向いています。一方で、購入した場合は入れ替え時に再度まとまった投資が必要になるため、慎重な計画が求められます。

税務・会計処理の違い

税務処理においても違いがあります。リースは毎月の支払いを経費として計上できるため、損金処理がしやすいのが利点です。対して購入した場合は、減価償却という形式で毎年分割して経費に計上することになります。どちらが有利かは院の利益状況によって変わるため、税理士や会計士などの専門家と相談するのが望ましいです。

補助金との相性・活用可能性

医療機器の導入には、補助金や助成金を活用できる場合があります。ただし、購入に限って補助対象となるケースが多く、リースは原則対象外とされている制度も少なくありません。補助金を活用して機器を導入したいと考えている場合は、購入を選ぶほうが有利な場合があります。

リースが向いているケースとそのメリット・デメリット

リースのメリット

初期費用を抑えられる

リースの最大の利点は、導入時の初期費用を大幅に抑えられることです。高額な物療機器でも、リースであればまとまった資金が不要で、月々の支払いだけでスタートできます。開業間もない接骨院や、資金を別の運営費に回したい場合には、リースという選択肢が大きな助けとなります。

常に最新機器を導入しやすい

リース契約では、一定期間が経過すると新しい機器への入れ替えが可能になることが多く、技術革新が早い医療分野ではこの点が大きなメリットになります。患者に対して常に最新の治療環境を提供できることは、信頼感や満足度の向上にもつながります。

固定資産管理の手間が不要

リース契約では、機器はリース会社の所有物であるため、固定資産としての登録や減価償却処理が不要です。こうした管理面の簡素化は、施術や経営に集中したい院長にとって大きな魅力といえます。

リースのデメリット

長期的には割高になる可能性

リースは分割で支払う便利さがある一方で、総額としては購入よりも高くなることがあります。特に長期間にわたって同じ機器を使い続ける予定であれば、リースの方がコスト負担が重くなる可能性があるため、導入目的と使用年数をよく考える必要があります。

契約期間中の中途解約リスク

契約期間中に事業の状況が変わった場合でも、リースは途中解約が難しいケースが多くあります。たとえば閉院や機器の不要化などがあっても、契約満了までリース料の支払いが続く場合もあり、リスクとして考慮するべき点です。

所有権が得られない

リースではあくまで機器は借り物であり、契約が終われば返却が必要です。自院の資産として残らないため、最終的に何も手元に残らないことに対して不安を感じる院長もいるでしょう。この点は、長期使用や資産化を重視する院には向かない側面です。

リースが向いている接骨院の特徴

リースは、以下のような条件に該当する接骨院に適しています。

  • 開業初期で資金に余裕がない
  • 新しい物療機器を定期的に導入したい
  • 管理や税務処理の手間を減らしたい
  • 院内の設備更新を柔軟に対応したい

リースは、コストだけでなく運用のしやすさにも配慮した選択肢です。メリットとデメリットを踏まえて、自院のステージに合うかどうかを検討しましょう。

購入が向いているケースとそのメリット・デメリット

購入のメリット

長期間の使用でコストを抑えられる

物療機器を長く使い続ける予定であれば、購入の方がリースよりもコストを抑えられる可能性があります。リースには金利や手数料が含まれているため、数年単位で考えたときに総支払額が購入より高くなるケースが多いのです。購入は初期費用こそ必要ですが、耐用年数をフルに活用すれば、費用対効果の高い投資となるでしょう。

所有権を得られる

購入すれば機器の所有権は完全に自院に移ります。これにより、院の資産として計上でき、必要に応じて売却や譲渡、改修といった対応も可能になります。自由に使えることはもちろん、リースと違って契約の縛りがないため、柔軟な運用ができるのも魅力です。

補助金の対象になりやすい

医療機器の導入に対して利用できる補助金制度の多くは、決められた期間内に支払まで完了していることを条件にしている場合が多く、リース契約では対象外になることがあります。購入であれば、制度の対象として認められやすく、うまく活用すればコストの一部を補助金でまかなうことも可能です。これは経営的にも大きなメリットとなります。

購入のデメリット

高額な初期投資が必要

購入の最大のネックは、まとまった初期資金が必要になる点です。特に複数の機器を同時に導入する場合や、保険診療以外の自由診療機器を導入する際は、100万円を超えることも珍しくありません。資金繰りが不安定な場合は、経営リスクとなり得るため注意が必要です。

管理やメンテナンスの負担

購入した機器はすべて自院の資産になるため、故障時の対応やメンテナンスの手配、保険の加入、固定資産税の申告といった業務も発生します。リースと違い、こうした事務的な作業が自院に発生するため、人的リソースや管理体制を整えておく必要があります。

資産としての減価償却処理が必要

購入した医療機器は、会計上「固定資産」として扱われ、毎年の減価償却処理が求められます。これにより、導入費用を一括で経費にできないため、年度ごとの利益や税金計算に影響を与えることになります。適切な会計処理を行うには、専門家のサポートを得ることも大切です。

購入が向いている接骨院の特徴

購入は、以下のような条件に合う接骨院に適しています。

  • 経営が安定しており、自己資金に余裕がある
  • 同じ機器を長く使い続けたい
  • 補助金を活用して設備投資をしたい
  • 資産として計上し、将来の売却も視野に入れたい

長期的な視点で見たとき、購入は自由度の高い選択肢です。手間や初期費用はかかりますが、それを補って余りある効果をもたらすこともあります。

自院に最適な選び方まとめ|判断に迷ったときのヒント

経営フェーズごとに選ぶべき導入方法

接骨院・鍼灸院の経営状況によって、選ぶべき導入方法は異なります。たとえば開業直後で資金的な余裕がない場合は、初期投資を抑えられるリースが現実的です。一方で、経営が軌道に乗り安定してきた段階では、長期コストを考えて購入を選ぶ方が経済的に有利になります。

また、今後の成長戦略に応じて機器の入れ替え頻度が高くなることが想定されるなら、柔軟に更新できるリースの方が適しているケースもあります。逆に、特定の施術に長く使える機器であれば、購入によって確実な資産とするほうが合理的です。

事例紹介:リース導入の成功パターン

ある開業2年目の接骨院では、患者からの要望を受けて、電気刺激による疼痛緩和機器を導入。初期投資の負担を抑えるためにリースを選択し、院内のキャッシュフローを圧迫せずにサービスを拡充しました。機器の導入後は口コミでの評価も高まり、リピート率の向上につながっています。加えて、契約終了後には最新機種への切り替えも検討できるため、将来的な更新にも柔軟に対応できます。

事例紹介:購入による経費削減の事例

別の地域密着型の鍼灸院では、慢性的な腰痛やスポーツ障害に対応するために超音波治療器を購入しました。導入から5年以上が経過していますが、今も問題なく稼働しており、患者からの信頼も厚いとのことです。初期費用はかかりましたが、月額の負担がない分、長期的なコストパフォーマンスは非常に高く、補助金の活用にも成功しています。

導入前に相談すべき専門家・支援機関

導入方法に迷った場合は、一人で判断せずに、専門家の意見を取り入れることが重要です。たとえば、補助金申請をサポートする行政書士や、資金繰りを見てくれる税理士、医療機器ディーラーなどが相談相手として適しています。また、自治体や商工会議所が実施する無料相談窓口も有効です。第三者の視点を交えることで、自院の状況に合った適切な選択ができる可能性が高まります。

LINE登録