キャリアアップ助成金 正社員化コースの詳細と接骨院・鍼灸院での活用ポイント 令和7年度版~シリーズ②~
ブログ監修者

プランナー
棚橋和宏
(たなはしかずひろ)
【保有資格:医療経営士3級】

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Contents
正社員化コースとは何か

制度の概要
正社員化コースは、パートや契約社員などの非正規スタッフを正社員に転換する取り組みを支援する制度です。国が用意した助成金を活用することで、雇用の安定を促し、事業主の負担を減らすことができます。接骨院や鍼灸院でも受付スタッフや施術補助スタッフなどを正社員化するケースが増えており、スタッフの定着やサービスの質向上を目指す上で大きな助けになります。
支給対象者と重点支援対象者
このコースでは、有期契約や無期契約のスタッフを正社員に転換する場合が対象になります。ただし、誰でも同じ条件で支給されるわけではなく、重点支援対象者と一般の対象者に分かれています。重点支援対象者は若年層や雇用保険の一定条件を満たす方などで、助成額が高めに設定されています。新卒採用から1年未満で正社員にする場合は対象外になるなど、申請時には注意が必要です。
支給金額と加算措置(令和7年度版)
令和7年度の改正では、重点支援対象者を正社員にした場合の助成額は1人あたり80万円(40万円×2期)に設定されています。一般の対象者は40万円(40万円×1期)です。また、新たにキャリアアップ助成金を初めて申請する企業については、1人目の正社員化で20万円が加算される仕組みがあり、合計100万円を受け取るケースもあります。こうした制度を上手に活用することで、経営の負担を抑えながら人材の定着を図ることが可能です。
接骨院・鍼灸院で活用しやすい理由

非正規スタッフが多い現状
接骨院や鍼灸院では、受付業務や施術補助をパートや有期契約で雇うケースが多いです。限られた人件費の中で運営を続けるため、非正規雇用は柔軟さがある一方で、人材の入れ替わりが起こりやすい課題を抱えています。スタッフが短期間で辞めてしまうと、教育の負担も増え、患者さんへの対応の質が安定しません。
正社員化のメリットと課題
非正規スタッフを正社員にすることは、スタッフにとっても大きな安心材料になります。雇用が安定することでモチベーションが上がり、院全体のサービス品質も向上します。ただ、正社員化には人件費が増える負担が伴います。これまで非正規の形で雇っていた理由がコストであった場合、単純に正社員化を進めるのは経営的に難しいと感じる院長も多いでしょう。
助成金を使うことで実現しやすくなるポイント
こうした課題を解決するのがキャリアアップ助成金です。正社員に転換する際のコストを補うことで、院長が安心してスタッフを正社員に迎え入れやすくなります。助成金を活用すれば、人材確保のための経営負担を減らしつつ、働きやすい職場を整備できます。結果として患者さんからの信頼も高まり、長期的には経営の安定化に大きく貢献する取り組みになります。
申請までの具体的な流れ

計画書の作成と提出
キャリアアップ助成金を受けるには、最初に「キャリアアップ計画書」を作成します。この計画には、正社員化の対象者や取り組み内容、スケジュールを具体的に記載します。作成した計画書は、取り組みを開始する前日までに所轄の労働局やハローワークへ届け出る必要があります。これを忘れると、どれだけ取り組みを進めても助成金の対象外になるので注意が必要です。
就業規則の整備
正社員転換を進める場合、その内容を就業規則や労働協約にしっかりと明記しておく必要があります。たとえば「正社員転換制度」を設け、対象者や手続き、条件を具体的に示す形です。作成・改定した就業規則は、労働基準監督署に届け出る義務があります。届け出を怠った場合、助成金の審査で不備を指摘されることもあります。
正社員転換後の運用と賃金支払い
計画書が認定され、就業規則の整備を終えたら、実際に対象スタッフを正社員に転換します。転換後は6か月間、正社員としての賃金を支払い続ける必要があります。この期間の賃金台帳や雇用契約書、勤怠記録などをしっかりと残し、助成金申請時に提出できるように管理することが大切です。
支給申請と審査
6か月分の賃金支払いを終えたら、翌日から2か月以内に支給申請を行います。必要書類をそろえて所轄の労働局に提出します。申請後、書類審査が行われ、問題がなければ助成金が支給されます。審査には時間がかかる場合もあるため、早めに準備を進めることがスムーズな受給につながります。
申請時の必要書類と注意点

必要書類一覧
正社員化コースを申請する際には、さまざまな書類が必要になります。代表的なものとしては、支給申請書、支給要件確認申立書、正社員化コース内訳、支給対象労働詳細などがあります。さらに、就業規則の写し、労働者の雇用契約書、賃金台帳、支払い明細書など、給与支払いの証拠となる書類も欠かせません。場合によっては、労働者名簿や身元確認書類のコピーも求められることがあります。
書類の整備・管理のポイント
申請をスムーズに進めるためには、日頃から書類をきちんと管理する習慣が大切です。正社員転換時の雇用契約書や就業規則は最新の内容を維持し、労働基準監督署への届け出も忘れずに済ませておく必要があります。また、賃金台帳や勤怠記録は助成金の審査で必ずチェックされるため、漏れや記載ミスがないように注意しましょう。
よくあるミスとその回避策
助成金の申請で多いミスの一つは、計画書を事前に提出していないことです。制度上、正社員化を実施する前に計画を提出していなければ対象外になります。また、就業規則が古いままだったり、労働基準監督署への届け出をしていないケースも見られます。こうしたミスを防ぐには、スケジュールを逆算し、余裕を持って準備を進めることがポイントです。不安があれば専門家に相談するのも良い方法です。
接骨院・鍼灸院での活用事例イメージ

受付スタッフを正社員化する場合
接骨院では受付業務をパートタイムで回すことが一般的ですが、担当スタッフが頻繁に変わると患者さんの信頼感を損ねてしまうこともあります。正社員化することで、受付対応が安定し、患者さんとのコミュニケーションも深まります。助成金を活用すれば、転換時の人件費増加を抑えながら長期雇用を実現でき、経営面での負担を軽減できます。
施術補助スタッフを正社員化する場合
施術をスムーズに進めるための補助スタッフも、経験が積み重なるほど価値が高まります。しかし、非正規のままだと他の仕事に移ったり、短期間で辞めたりするリスクがあります。助成金を活用して正社員に転換することで、院内での教育投資が無駄にならず、サービスの質を安定させられます。結果として患者さんからの信頼も厚くなり、来院のリピートにもつながります。
小規模院での進め方
規模が小さい接骨院や鍼灸院では、人件費の管理が特にシビアです。そのため、助成金を上手に使って段階的に正社員化を進めることが大切です。まずは1人目を重点支援対象者として申請し、加算措置を活用することで最大100万円を得ることも可能です。計画的にスタッフのキャリアアップを支援しながら、経営の安定化を図ることが成功のポイントです。
まとめ|経営改善と人材定着を支える正社員化コース

接骨院や鍼灸院が抱える課題の一つが、スタッフの定着とサービス品質の維持です。非正規雇用は人件費の調整がしやすい反面、短期離職のリスクや教育コストの無駄が発生しやすくなります。正社員化はそうした課題を根本的に解決するための手段ですが、経営上の負担も考えなければなりません。
正社員化コースを活用すれば、この負担を大きく軽減しながら、安定したスタッフ確保を実現できます。令和7年度版ではキャリアアップ計画書の取り扱いが簡素化され、初めての申請なら加算も受けられるため、特に小規模院にとって大きな後押しになります。
大切なのは、事前の計画書提出や就業規則の整備など、必要なステップをしっかり踏むことです。スタッフのキャリアアップを支援し、院の経営を安定させるために、ぜひこの制度を前向きに活用してみてください。もし申請に不安があれば、専門家への相談も検討しましょう。
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