キャリアアップ助成金 障害者正社員化コースを知ろう|対象要件と申請の流れ 令和7年度版~シリーズ③~

ブログ監修者

プランナー

棚橋和宏
(たなはしかずひろ)

【保有資格:医療経営士3級】

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障害者正社員化コースとは?

制度の目的と背景

障害者正社員化コースは、障害を持つ方が安定して働ける環境をつくるために設けられた制度です。企業が非正規雇用の障害者を正社員に転換する取り組みを支援し、雇用の安定と職場定着を促進します。接骨院や鍼灸院でも、地域に根ざした事業として社会的責任を果たしながら、人手不足の解消やサービスの質向上を目指す手段として注目されています。

一般の正社員化コースとの違い

一般の正社員化コースとの大きな違いは、支給額と対象者の条件です。障害者正社員化コースは、障害の程度に応じて助成金の上限が高く設定されており、企業が障害者雇用に踏み切りやすいよう設計されています。また、障害者雇用促進法に基づく雇用義務や社会的要請を背景に、より手厚い支援を受けられる点が特徴です。

令和7年度の支給額と条件

令和7年度の制度では、障害者を正社員に転換する際に最大120万円が支給されます。障害の程度や雇用保険の加入状況などによって支給額が変わるため、事前の確認が重要です。また、新卒で入社してから1年未満の転換は対象外になるなど、細かい条件も設けられています。計画書の事前提出や就業規則の整備など、通常の正社員化コースと同様の準備も必要です。

接骨院・鍼灸院が活用するメリット

人材確保と雇用の多様化

接骨院や鍼灸院では、慢性的な人手不足が課題です。障害者正社員化コースを活用することで、幅広い人材を受け入れ、安定して働いてもらえる仕組みを整えられます。雇用の多様化は職場の活性化にもつながり、患者さんへの対応力やサービスの幅を広げるきっかけにもなります。

スタッフの安心と定着

非正規から正社員になることで、スタッフの生活基盤が安定します。雇用契約が変わることで将来への不安が減り、モチベーションも向上します。接骨院や鍼灸院のように人と接するサービス業では、スタッフの表情や対応が患者さんの満足度に直結します。正社員化はスタッフの安心を支え、院全体の信頼を築くための大きなステップです。

社会的責任と地域貢献

地域に根ざした医療サービスを担う接骨院や鍼灸院にとって、障害者雇用は社会的責任を果たす重要な取り組みです。障害を持つ方が地域で働き、暮らしを支え合うことで、院のイメージアップや地域との信頼関係も強まります。助成金を活用することで、こうした取り組みを現実的に進めやすくなります。

具体的な申請の流れ

計画書作成と提出

障害者正社員化コースを利用するには、まず「キャリアアップ計画書」を作成します。この計画書には、対象となるスタッフの情報や正社員転換までの取り組み内容を記載します。作成した計画書は、実施する前日までに所轄の労働局やハローワークへ提出する必要があります。事前提出を忘れると助成金の対象外になるため、早めの準備が大切です。

就業規則の整備

正社員化を進める際には、就業規則に正社員転換制度をしっかりと盛り込むことが求められます。転換の基準や手続き、待遇面などを明記し、労働基準監督署への届け出を行います。届け出を怠ると申請時に不備を指摘される可能性があるため、計画書提出と並行して就業規則の整備を進めることがポイントです。

障害者雇用のポイント

障害者を雇用する場合、業務内容や職場環境をその方に合わせて整える配慮が重要です。業務の分担や指導方法を見直し、無理のない範囲で力を発揮してもらうための工夫が求められます。雇用前の面談や研修をしっかり行い、安心して働ける体制をつくることで、職場全体の理解も深まります。

6か月間の賃金支払いと証憑管理

正社員に転換した後は、6か月間の賃金を継続して支払うことが必要です。この期間中の賃金台帳、雇用契約書、勤怠記録などを正確に整備しておくことが求められます。これらは助成金の申請時に提出が必要となる大切な証拠ですので、日々の管理を徹底しましょう。

支給申請と審査

6か月間の支払いを終えたら、翌日から2か月以内に支給申請を行います。所定の申請書類を準備し、所轄の労働局へ提出します。申請後は書類審査が行われ、問題がなければ指定口座へ助成金が振り込まれます。スムーズに受給するためにも、書類の不備を防ぐ準備が大切です。

申請時の必要書類と注意点

必要書類一覧

障害者正社員化コースを申請する際には、さまざまな書類を揃える必要があります。代表的なものは支給申請書、支給要件確認申立書、対象労働者詳細などです。また、雇用契約書の写し、就業規則、賃金台帳、支払い明細書、源泉徴収簿、労働者名簿など、雇用と賃金を証明する書類も求められます。申請内容によっては身元確認書類や障害者雇用状況報告書の提出も必要です。

書類不備を防ぐコツ

助成金の申請でよくある失敗は、書類の不備や漏れによって申請が受理されないことです。計画書を事前に提出していない、就業規則に正社員転換制度が明記されていない、賃金台帳や勤怠記録が不足しているなどのミスが起こりがちです。こうしたミスを防ぐには、スケジュールを逆算し、提出期限を守りながら一つ一つの書類をチェックする習慣をつけることが大切です。不安があれば専門家に相談することも有効です。

接骨院・鍼灸院での活用事例イメージ

受付スタッフの雇用例

接骨院や鍼灸院では、受付業務を担うスタッフの採用が欠かせません。非正規雇用の場合、短期離職のリスクが高く、患者さんとの信頼関係が築きにくくなることがあります。障害者正社員化コースを活用して障害を持つ方を正社員として迎えることで、雇用の安定が図れます。助成金を活用すれば人件費の負担を軽減しながら、長期的に働ける体制を整えることができます。

施術補助スタッフの雇用例

施術をスムーズに行うための補助スタッフは、院のサービス品質を左右します。障害者雇用を検討することで、地域で働きたい障害を持つ方に新たな職域を提供できます。助成金を活用することで、教育コストをかけながら長く働いてもらえる環境を用意でき、施術チーム全体の連携強化にもつながります。患者さんへの対応力も高まり、院の評判を高める要素になります。

当該制度を活用して、視覚に障害のある按摩マッサージ師を雇用した施術所もあり、今では院には欠かせない施術者となっているというケースもあります。

小規模院での進め方

規模の小さい接骨院や鍼灸院でも、障害者正社員化コースを活用することで人材の安定確保が可能です。最初の1人目を重点的に計画し、業務を明確に分担しながら段階的に進めることがポイントです。助成金を使うことで経営負担を軽減しつつ、地域とのつながりを深め、社会的責任を果たす取り組みを実現できます。

まとめ|経営改善と地域に根ざした雇用を目指して

接骨院や鍼灸院は、地域の患者さんに寄り添い、健康を支える重要な存在です。その中で、スタッフの安定した雇用を確保することは、サービス品質を維持し、患者さんからの信頼を得るために欠かせません。障害者正社員化コースは、障害を持つ方を正社員として迎え入れることで、人材不足の解消だけでなく、院の社会的責任を果たす取り組みを後押しします。

令和7年度の制度では最大120万円の助成金を受けられる仕組みが用意され、経営負担を軽減しながら安心して雇用を進めることが可能です。ただし、事前の計画書提出や就業規則の整備、6か月間の賃金支払いなど、しっかりとした準備が必要です。

地域に根ざした院づくりを進め、患者さんに信頼される存在となるために、障害者正社員化コースを積極的に活用してみてください。もし申請に不安があれば、専門家への相談も視野に入れながら、一歩ずつ準備を進めていきましょう。

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