スタッフ不足を解消する省力化の極意|接骨院・鍼灸院で役立つ3つの方法

ブログ監修者

プランナー

棚橋和宏
(たなはしかずひろ)

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接骨院・鍼灸院が抱える「スタッフ不足」という課題

なぜスタッフが定着しにくいのか?

接骨院や鍼灸院では、スタッフの定着に苦労するケースが多く見られます。その理由の一つは、体力的・精神的に負担が大きい仕事であることです。患者対応、施術補助、受付業務といった多岐にわたる業務が求められ、時間に追われる中で十分な教育やフォローアップができないまま現場に立たされることも少なくありません。

また、待遇面でも他業種と比べて魅力を感じにくいという声があり、将来性やキャリアパスが不透明なことも離職の要因となっています。特に若い人材にとっては、ライフスタイルとの両立ややりがいの面で魅力を感じられず、長く続かないという課題が浮き彫りになります。

スタッフ不足がもたらす院内への影響

スタッフが不足すると、まず施術や受付業務のスピードが低下します。患者の待ち時間が長くなり、満足度の低下にもつながります。さらに、業務が限られた人数に集中するため、残っているスタッフの負担が増し、疲弊やミスの発生率も高まっていきます。

最悪の場合、施術の質が落ちてしまい、リピート率の低下や口コミの悪化を招くリスクもあります。こうした連鎖的な悪循環に陥る前に、スタッフ不足に対応する仕組みづくりが求められています。

なぜ今、省力化が必要なのか?その背景と重要性

少子高齢化と労働力不足の現実

日本では少子高齢化が急速に進行し、あらゆる業種で人材確保が難しくなっています。接骨院や鍼灸院も例外ではなく、新しいスタッフを採用したくても応募自体が少ない、あるいは思うような人材に出会えないという悩みを抱えている院が増えています。

特に地方ではこの傾向が顕著で、求人を出しても応募がまったくないというケースもあります。こうした状況では、「人を増やす」のではなく、「人に頼らなくても業務が回る仕組みを作る」ことが、現実的な選択肢となってきています。

生産性向上が求められる時代背景

医療や施術サービスの現場においても、生産性という言葉が重要視されるようになってきました。限られた人数・時間の中で、いかに多くの患者に質の高いサービスを提供できるかが、これからの接骨院経営のカギとなります。

かつては「丁寧に対応すれば自然と患者は増える」と考えられていたかもしれません。しかし今では、効率よく業務をこなしながらも、一定の品質を維持するという両立が求められています。そのため、省力化は単なる効率化ではなく、「質を落とさず、無駄を省く」工夫だと言えるでしょう。

省人化との違いを正しく理解しよう

よく混同されがちなのが「省力化」と「省人化」という言葉です。省人化とは、業務から人を減らすことを目的とした取り組みであり、機械やシステムに置き換えることで人件費を削減する考え方です。

一方、省力化は人を減らすことを主目的とはしておらず、「今いる人の負担を軽くすること」を目指します。結果として人件費の圧縮につながることもありますが、あくまでもスタッフの働きやすさや現場の安定を重視するのが省力化の考え方です。この違いを正しく理解したうえで、自院に合った施策を選ぶことが大切です。

接骨院・鍼灸院で実践できる省力化の3つの方法

方法1:受付・会計業務のデジタル化

タブレット受付やキャッシュレス導入の効果

受付業務は一見シンプルに思われがちですが、実際には患者情報の記入・確認、カルテの準備、診療の順番管理、会計など、多くの工程が含まれています。これらをすべて手作業で行っていると、スタッフの負担は大きくなりますし、ミスが発生しやすくなります。

そこで効果的なのが、タブレットを使った受付システムやキャッシュレス決済の導入です。患者が自分で受付を完了でき、情報がそのまま院内の管理システムと連動することで、受付スタッフの業務は大幅に軽減されます。また、キャッシュレス決済を導入すれば、現金のやり取りやレジ締めの手間も省けます。

導入に必要な初期コストと手順

デジタル受付やキャッシュレス対応には、ある程度の初期費用が必要です。タブレット端末、レジ連動型の決済端末、院内ネットワークの整備など、導入には10万〜30万円程度のコストが想定されます。

導入時には、スタッフがスムーズに使いこなせるよう、簡単な操作マニュアルを作ることも大切です。また、補助金や助成金を活用することで、導入コストを抑えることも可能です。特に中小規模の接骨院・鍼灸院では、こうした公的支援を上手に使うことで、無理なく省力化を進められます。


方法2:施術支援機器の導入

省力化に貢献する具体的な医療機器とは

施術中にスタッフの手間を減らすためには、施術支援機器の導入も有効です。たとえば、電気刺激装置(EMS)、超音波治療器、温熱療法機などは、患者に一定の治療効果を提供しながら、スタッフの物理的負担を軽減することができます。

特に、同時に複数の患者に対して使用できるタイプの機器であれば、スタッフ1人でも複数人を対応可能になり、施術効率が大幅に向上します。こうした機器は、自由診療との相性もよく、収益アップにもつながる可能性があります。

自由診療との相性や収益性への影響

保険診療だけでは経営が成り立たないという院も多い中、自由診療のメニューを充実させることは重要な戦略です。施術支援機器を活用すれば、高単価な治療メニューを提供しやすくなり、結果として収益性の向上が期待できます。

例えば、EMSを用いた筋力強化プログラムや、美容鍼と組み合わせた温熱機器の使用など、患者にとっての価値が高いサービスは、口コミや紹介にもつながりやすくなります。スタッフの時間を節約しながら、単価の高いサービスを提供できる点でも、省力化と収益性の両立が可能です。


方法3:業務フローの見直しとマニュアル整備

スタッフの育成時間を削減する標準化とは

新人スタッフを教育する際に時間と手間がかかりすぎていませんか?マニュアルが整備されていないと、業務を感覚で教えることになり、属人的なやり方が温存されてしまいます。これでは人によって対応がバラバラになり、ミスも増える一因となります。

標準化とは、「誰がやっても同じように業務が進められる」状態をつくることです。マニュアルや業務チェックリストを整備することで、教育の時間を短縮し、再現性のある指導が可能になります。

見直し手順と効果的な改善ポイント

業務フローの見直しを行う際は、まず「どこに時間がかかっているか」「どこでミスが起きやすいか」を洗い出すことから始めましょう。1日の業務を時間軸で整理してみると、無駄な動きや重複した作業が見えてきます。

改善のポイントとしては、①複数人で対応していた作業を1人でできるようにする、②業務の順番を入れ替えて効率化する、③チェックの仕組みを加えてミスを減らす、といった施策が挙げられます。こうした取り組みが、結果として「人に頼らずスムーズに回る仕組み」へとつながっていきます。

導入の注意点と失敗しないポイント

「省力化=人員削減」と誤解されないために

省力化という言葉には、時に「スタッフを減らす施策」といった誤解がつきまといます。しかし、実際の目的はそうではありません。省力化とは、現場の負担を軽減し、限られた人手でも質の高いサービスを継続するための工夫です。

この誤解を放置すると、スタッフの不安や不信感を招くおそれがあります。省力化の導入にあたっては、単なる合理化ではなく「働きやすい職場をつくるための前向きな取り組み」であることを、事前にしっかりと説明し、スタッフと認識を共有することが重要です。

導入前にやっておきたいこと

省力化の施策を取り入れる前には、いくつかの準備が必要です。まずは現場の「今」を正確に把握すること。どの業務に時間がかかっているのか、どこで負担が集中しているのかを見える化し、改善すべきポイントを明確にします。

次に、導入するツールや機器が自院の規模や運用に合っているかを慎重に判断することが求められます。見た目の機能や価格だけで判断せず、実際にどれだけ活用できるか、現場での運用がスムーズにいくかを事前に試す機会があれば、積極的に利用しましょう。

さらに、導入後のフォロー体制やトラブル時の対応もチェックポイントです。導入業者やシステム会社との連携体制を確認し、困ったときにすぐ相談できる環境を整えておくことが安心につながります。

補助金・助成金の活用も視野に

省力化の取り組みは、設備やツールの導入が伴うため、初期費用がかかるケースが少なくありません。そうした際に検討したいのが、自治体や国が提供している補助金・助成金制度の活用です。

たとえば、業務改善助成金や生産性向上支援事業など、中小企業や医療・施術業を対象とした制度が多数あります。申請には条件や手続きが必要ですが、導入コストを大幅に抑えられる場合があります。制度の内容や受付時期は変動するため、定期的に情報をチェックし、使える制度がないかアンテナを張っておくことが大切です。

まとめ|省力化で接骨院経営を安定させよう

今すぐ取り組めることから始める

スタッフ不足は待っていても解決しません。しかし、省力化というアプローチを取り入れることで、現状を変える第一歩を踏み出すことができます。すべてを一度に変える必要はなく、まずは受付や会計のデジタル化、施術支援機器の導入、業務のマニュアル整備といった身近な取り組みから始めてみることが大切です。

小さな改善でも、それが積み重なることで大きな効果を生み出します。「やってみること」こそが、省力化成功の鍵と言えるでしょう。

省力化で実現する持続可能な院運営

省力化を導入することは、単なる作業効率の向上にとどまりません。スタッフの働きやすさ、患者の満足度、院の経営安定といった多方面にわたる効果をもたらします。現場の負担が減れば離職リスクも下がり、人が定着する強い職場が生まれます。

そして何より、院長自身が疲弊せず、経営や未来のビジョンに集中できるようになることが、経営者にとっての最大のベネフィットです。スタッフが少なくても「ちゃんと回る」接骨院・鍼灸院を目指し、今こそ省力化の第一歩を踏み出しましょう。

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