補助金採択後の“実績報告書”って何?接骨院が注意すべき落とし穴
ブログ監修者

プランナー
棚橋和宏
(たなはしかずひろ)
【保有資格】

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Contents
実績報告書とは?接骨院が押さえておきたい基本情報

実績報告書の目的と役割
補助金を使って設備やサービスを導入したあと、必ず行わなければならないのが「実績報告書」の提出です。この書類は、補助金を管理する事務局に対して「補助金でこういう取り組みをしました」「これだけの金額をこのように使いました」と証明するための報告書です。
つまり、実績報告書は、計画通りに事業を実行したという証拠を示すためのものです。報告が受理されることで、最終的に補助金が正式に交付されるという流れになります。逆にいえば、これを正しく提出できないと、補助金が受け取れない、あるいは返還を求められるという可能性もあるのです。
実績報告書が必要になるケースとは
実績報告書は、基本的にどの補助金制度でも必要とされています。特に接骨院の場合、物療機器の導入や広告費の活用、店舗の改装など、幅広い用途で補助金を使う機会がありますが、いずれのケースでも事業が完了したあとに報告義務が発生します。
たとえば、「小規模事業者持続化補助金」や「業務改善助成金」などでは、機器の購入や工事が終わった後に、実際に何を買ったのか、いつ支払ったのか、どんな効果が見込まれるのかを詳細に記載する必要があります。これは、計画倒れや不正利用を防ぐための重要なチェックポイントとなっています。
補助金実績報告書の記載項目と作成ポイント
必須となる記載項目一覧
実績報告書には、あらかじめ決められた情報を正確に記載する必要があります。接骨院が補助金を活用した場合、以下のような項目が求められることが一般的です。
まず、「事業の概要」です。ここでは、補助金を活用してどのような取り組みを行ったのかを簡潔に説明します。たとえば、「新たな電気刺激治療器を導入し、高齢患者への対応力を強化した」など、目的と取り組み内容を明記します。
次に、「経費の内訳と支出状況」が求められます。どの業者から、どの設備を、いくらで購入したのか。また、支払いの証拠として領収書や請求書の写し、振込明細などを添付する必要があります。これが不十分だと、経費として認められないこともあります。
さらに、事業の「実施スケジュール」や「成果」についても記載します。何月何日に導入し、どのように活用しているか、そして導入後に期待される効果や成果についても言及しましょう。
事業内容の詳細な説明
報告書の中核となるのが「事業内容の詳細」です。ここでは、申請時の計画に基づいて、実際に行った内容を時系列に沿って説明します。導入した設備の名称、活用方法、院内のレイアウト変更の有無など、具体的な情報が求められます。
重要なのは、「計画通りに実施されたか」を審査される点です。たとえば、予定していたA社ではなくB社から機器を購入した場合、その理由を説明する必要があります。
経費の内訳と支出内容の記載方法
経費部分の記載では、「どの支出が補助金対象か」を明確に示すことがカギです。たとえば、治療器本体は対象でも、メンテナンス費用や消耗品は対象外とされることがあります。
また、実際に支払ったことを証明するために、支払い方法(振込・現金など)とその証憑の種類を明記しなければなりません。領収書の発行者名や金額が申請書と異なっていると、不備として扱われる可能性があるため注意が必要です。
作成時に気をつける3つのポイント
実績報告書を作成する際、特に気をつけたいのは次の3点です。
1つ目は、「書類の整合性」です。申請時の計画書や見積書と、実際の内容がずれていないか、資料を見比べて確認しましょう。
2つ目は、「提出期限の厳守」です。期日を過ぎると補助金が交付されないことがあります。早めに取りかかることが重要です。
3つ目は、「証憑の完全性」です。領収書、契約書、振込記録などが一式そろっているかを必ずチェックし、不備があれば再発行などの対応を早めに行いましょう。
不備があるとどうなる?よくあるミスとその対策

接骨院で多い実績報告書の不備例
実績報告書は書式や形式だけでなく、内容面でも厳密な確認が行われます。特に接骨院で多い不備の一つが、「支出内容と証憑書類の不一致」です。たとえば、申請時の見積書ではA社で30万円とされていた機器が、実際にはB社から28万円で購入されていたような場合、その理由を補足しないと不備扱いとなることがあります。
また、領収書や振込明細が添付されていないケースも頻繁に見られます。補助金は公的資金であるため、支出の裏付けがない経費は認められません。支払い証拠の不足は、補助金の減額や最悪の場合、支給取消につながるリスクがあります。
さらに、「目的外使用」と見なされる事例も注意が必要です。たとえば、補助金で購入した機器を自由診療ではなく保険診療で使っていた場合、対象外と判断されることもあります。
補助金減額や返還のリスクとは
実績報告書に不備があると、事務局からの修正依頼や再提出が求められます。それ自体も大きな負担ですが、さらに深刻なのは、補助金の支給額が減額されたり、まったく交付されないケースがあることです。
特に、証憑書類が不十分だった場合には、該当経費が「認められない」と判断され、その分の補助金がカットされます。さらに、「事業内容の報告に虚偽があった」と見なされると、すでに支給された金額であっても返還を命じられることがあります。
補助金の不正受給と判断されると、今後の公的支援制度の利用に制限がかかることもあり、接骨院経営に長期的な影響を与えることも否定できません。
不備を防ぐための具体的対策
こうしたリスクを避けるためには、事前の準備とチェック体制が重要です。まず、補助金で購入予定の設備については、申請時点から導入先や金額、導入時期を具体的に整理しておくことが求められます。
導入後は、すべての支出に対して証憑書類を整理・保管し、可能であればデジタル保存も活用しましょう。さらに、報告書を作成する前に「交付規定」や「記入マニュアル」をよく読み込み、求められる情報が漏れていないかを確認することも欠かせません。
不安がある場合は、商工会や補助金支援の専門家に相談し、第三者のチェックを受けることで、より確実に正しい報告書を提出できます。
提出前に確認!接骨院向け実績報告書のチェックリスト

チェックすべき書類と内容の確認項目
実績報告書を提出する前に、最低限確認しておきたいポイントがあります。まずは、必要書類がすべて揃っているかを確認しましょう。基本的には、以下のような書類が求められます。
- 実績報告書本体(所定の様式に記載)
- 領収書、請求書などの支出証憑
- 銀行振込の明細や通帳コピー
- 納品書、機器の写真、設置状況がわかる資料
- 事業完了報告書(求められる場合)
これらの書類は、すべて補助対象経費とその使用目的が明確に分かるよう整理されている必要があります。単に「あるだけ」ではなく、記載内容と証憑が一致しているかも重要なチェックポイントです。
また、作成した報告書は、誤字脱字の有無、数値の整合性、申請時の内容との相違がないかを見直しましょう。とくに支出金額は、1円単位でもずれていると再確認が求められることがあります。
提出スケジュールと提出方法の注意点
提出期限を過ぎると、いかに内容が正しくても受理されないことがあります。一般的に、補助金事業が完了した日から30日以内、または補助事業の最終期限の翌月10日までのいずれか早い日が提出期限とされます。
提出方法にも注意が必要です。紙媒体での郵送提出が必要な場合、期日内に到着していることが条件となるため、余裕を持って発送するようにしましょう。オンライン提出の場合も、締切時間が「当日23:59まで」などと厳密に決まっていることがあるため、直前のアップロードは避けるべきです。
提出後も、事務局から問い合わせが来る可能性がありますので、連絡が取れるようにしておくことが望ましいです。書類控えや送付証明も手元に残しておくと、トラブル時に役立ちます。
まとめ|補助金を確実に受け取るための報告書対応術
実績報告書対応で押さえておくべき要点の振り返り
補助金を活用した後の「実績報告書」は、事業が計画通りに実行されたかを証明するための重要な書類です。接骨院においても、機器の導入や改装、広告費など、補助金を活用したあらゆる取り組みの結果を正確に示す必要があります。
記載項目には、事業の詳細、経費の内訳、証憑書類の添付などが含まれ、どれも正確さが求められます。提出前には、内容の整合性、証拠資料の確認、そして期限を厳守する姿勢が欠かせません。
また、実績報告書に不備があると、補助金の交付が遅れるだけでなく、最悪の場合は不支給や返還のリスクもあります。そのため、「提出すればいい」ではなく、「適切に仕上げて提出する」ことが重要です。
補助金を活用する接骨院が次に目指すべきこと
実績報告書を適切に提出できたということは、補助金を活用して計画を着実に実行できた証でもあります。これは、接骨院の経営力が一歩成長したことを意味します。
今後は、その成果をもとにさらなるサービス向上や集客力強化につなげていくことが求められます。たとえば、導入した機器の活用事例をホームページやSNSで発信したり、患者からの声を集めて改善につなげたりするのも有効です。
また、次回以降の補助金申請や事業展開を見据え、実績報告書をテンプレート化しておくこともおすすめです。過去の申請経験が、次の挑戦への強い武器になるでしょう。