ハイボルテージは低周波治療器に含まれる?接骨院・鍼灸院のための4つの判断基準
ブログ監修者
プランナー
棚橋 和宏
(たなはし かずひろ)
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Contents
ハイボルテージは低周波治療器に含まれるのか?基本の考え方を整理

ハイボルテージは、強い電圧のパルスを使って痛みや炎症にアプローチする電気治療の一つです。低周波治療器と同じように電気刺激を使いますが、「同じ機器なのか」「別物として考えるべきなのか」で迷う先生も少なくありません。実際には、医療機器の分類上は低周波治療器の枠に含まれているケースもありつつ、刺激の特性や使い方は一般的な低周波とはかなり違うという少しややこしい立ち位置です。この章では、まずハイボルテージの基本的な特徴と、低周波治療器との関係性を整理し、後半の判断基準の理解につなげていきます。
ハイボルテージとは何か:特徴と基本構造
ハイボルテージは、高電圧のパルス波を用いる電気治療の一種です。電圧は高いものの、パルス幅が非常に短く設定されているため、皮膚への不快な刺激を抑えながら、深い部分まで電気を届けやすい点が特徴です。一般的な低周波治療器と同じように電極から電気を流し使用しますが、より強い出力で、炎症や強い痛みに対して集中的に使われることが多くなっています。スポーツ外傷や急性期の痛みなど、深部の組織に働きかけたい場面で採用されることが多く、手技だけでは届きにくい部位のサポートとしても重宝されています。
低周波治療器との共通点と相違点
低周波治療器との共通点としては、どちらも電気刺激を利用し、痛みの軽減や筋肉の状態改善を目的としている点が挙げられます。また、周波数帯も広い意味では近い領域を利用するため、「低周波の一種」と説明されることもあります。一方で、大きく違うのは電圧と刺激の届き方です。一般的な低周波治療器は比較的低い電圧で浅い部分に作用しやすく、表層の神経や筋肉にアプローチするのが得意です。それに対してハイボルテージは高電圧パルスにより皮膚抵抗を抑え、深い組織にまで刺激を届けやすく設計されています。同じ「電気治療」でも、ねらう層や得意な症状が違うという点を押さえておくことが重要です。
分類が混乱しやすい理由とは
ハイボルテージが低周波治療器に含まれるのかどうかで迷いやすい理由の一つは、医療機器のカタログや添付文書での表現がメーカーによって異なることです。ある機種では「低周波治療器の一種」としてまとめられている一方で、別の機種では「高電圧電気刺激」として独立した特徴が強調されていることもあります。さらに、一台の機器の中に低周波モードや干渉波モードと並んでハイボルテージモードが搭載されている場合もあり、分類と機能が頭の中で混ざりやすくなります。このため、「医療機器の分類としてどう扱われているか」と「臨床上どのような特徴を持つか」を分けて整理することが、混乱を防ぐうえで大切な視点になります。
医療機器分類からみるハイボルテージの位置づけ

ハイボルテージが低周波治療器に含まれるかどうかを理解するためには、まず医療機器としてどのように分類されているのかを確認する必要があります。施術現場では機能面で語られることが多いハイボルテージですが、製造や販売の段階では法律に基づいた分類が決められています。この分類は、導入を検討する際の補助金申請や院内の機器管理にも関係するため、正確に把握しておくことが重要です。
JMDNコードから見る分類のポイント
日本で医療機器を扱う際には、JMDNコードという分類番号が使われます。ハイボルテージを搭載した機器の多くは「低周波治療器」または「干渉電流型低周波治療器」のグループに含まれており、医療機器としては低周波治療器の区分に分類されているケースが少なくありません。ただし、これはあくまで製品としての分類であり、臨床現場での使い方や刺激の特性とは必ずしも一致しない点がポイントになります。ハイボルテージは高電圧パルスを採用しているため、通常の低周波治療器とは明確に違う作用を持っていることを理解しておきたいところです。
「低周波治療器」に含まれるケースの整理
実際に販売されている機器の中には、低周波治療器のカテゴリに分類されながらも、ハイボルテージモードを搭載している製品が複数あります。この場合、医療機器分類上は低周波治療器でありながら、機能としてはまったく別の特徴を持つことになります。こうした機器は、利用者側が分類と作用を区別して理解する必要があります。分類が低周波治療器だからといって刺激の性質まで同じとは限らないことが、混乱を招きやすい理由の一つといえます。
メーカー表記による違いと読み解き方
メーカーによっては、ハイボルテージを「高電圧電気刺激」と明確に分けて紹介する場合もあります。一方で、別のメーカーでは低周波治療器の中の一つのモードとして扱われることもあります。表記の違いが大きいため、分類を判断するときはカタログの機能説明や添付文書の記載をしっかり確認することが欠かせません。特に補助金や助成金の申請では、医療機器分類や管理医療機器の区分が重要になるケースもあるため、メーカーの表現だけで判断せず、JMDNコードや機器の位置づけを複数の角度からチェックすることが安心につながります。
周波数・電圧・作用の深さから判定する4つの判断基準

ハイボルテージが低周波治療器に含まれるかどうかを整理するためには、分類だけでなく、刺激の性質や働き方を踏まえて判断することが大切です。とくに、周波数・電圧・刺激の届く深さ・治療目的の4つを比べると、両者の違いが見えやすくなります。この章では、施術者が間違いやすいポイントを整理しながら、ハイボルテージがどんな特徴を持つ刺激なのかを明確にしていきます。
判断基準① 周波数の特徴と分類への影響
周波数だけを見ると、ハイボルテージは一般的な低周波治療器と同じ領域を使うことがあります。多くの製品では1〜1000Hzの範囲を利用しており、この数値だけを見れば低周波治療器と同じ分類に含めたくなるかもしれません。しかし、周波数が似ていても刺激の性質はまったく違います。低周波は浅い層に作用しやすいのに対して、ハイボルテージは高電圧と組み合わせることで深くまで電気を届けることができる点が大きな違いです。同じ周波数帯でも電気の使い方が異なるため、周波数だけで分類するのは適切ではありません。
判断基準② 高電圧パルスの特性
ハイボルテージの最も大きな特徴は、150〜400V以上の高い電圧でパルスを出力する点にあります。この高電圧によって皮膚の抵抗が抑えられ、電気が深い部分まで届きやすくなります。一般的な低周波治療器は電圧が低いため、皮膚表面で電気が減衰し、深い筋肉まで届きにくくなります。この違いにより、ハイボルテージは急性の痛みや炎症にもアプローチしやすく、短時間で変化を期待できる刺激になります。電圧という観点で見ると、両者はまったく別物として考えるべきだといえます。
判断基準③ 刺激が届く深さと作用の違い
ハイボルテージは高電圧パルスによって皮膚抵抗を抑え、深層の筋肉や神経組織に刺激を届けやすい仕組みです。これにより、手技では届きにくい部分や、深い筋群の張りが強いケースでもしっかりアプローチすることができます。一方、低周波治療器は浅い部分の痛みやしびれなど、表層の症状に向いています。刺激が届く深さの違いは、治療目的を考えるうえで非常に重要であり、患者さんに説明する際にも理解しておきたいポイントです。
判断基準④ 治療目的の違いから見る位置づけ
低周波治療器は、痛みの伝わり方を調整することで症状を軽くする目的で使われることが多く、特に慢性症状の緩和に向いています。一方、ハイボルテージは深い部分の炎症や痛みの改善をねらい、スポーツ外傷などの急性期でも効果を期待できる刺激です。治療目的を基準に分類すると、低周波治療器とは異なる役割を担う存在となり、「低周波治療器に含まれる場合があるが、作用は別物」と整理するのが分かりやすい考え方になります。
接骨院・鍼灸院での実践に役立つハイボルテージの活用ポイント

ハイボルテージは、分類上は低周波治療器に含まれるケースがあるものの、臨床での使い方は一般的な低周波とは大きく異なります。深部に刺激を届けやすい特徴から、急性の痛みや炎症に対して力を発揮し、施術全体の流れをスムーズにするサポート役としても活用されています。ここでは、実際の施術シーンでどのようにハイボルテージを取り入れると効果的なのかを、現場目線で整理していきます。
急性症状へのアプローチ方法
急性の捻挫や打撲、筋肉の強い痛みが出ている場面では、まず炎症のコントロールが必要です。ハイボルテージは高電圧によって深い組織にアプローチできるため、患部周囲の血行を整えながら炎症を落ち着かせるサポートができます。刺激の浸透が良いため、短時間で変化を感じてもらいやすい点が魅力です。急性症状では無理に手技を行うと悪化のリスクがあるため、ハイボルテージを最初のステップとして取り入れることで、回復に向けた流れをつくりやすくなる場合があります。
慢性症状での使い分けとメリット
慢性的な肩こりや腰の張りなど、深い筋肉が固くなっているケースでは、手技だけでは届きにくい部位にアプローチしたい場面が多くあります。ハイボルテージは深層筋に刺激を届けやすく、筋肉の柔軟性が高まりやすい状態をつくることができます。固さが強い患者さんに対しては、施術前にハイボルテージを使うことで、手技が入りやすくなったり、短い時間でコリがほぐれやすくなったりといったメリットがあります。また、低周波だけでは変化が乏しい場合にも、ハイボルテージとの併用が効果的です。
患者説明で押さえておくべきポイント
電気治療に慣れていない患者さんに対しては、「なぜこの刺激が必要なのか」を丁寧に説明することが安心感につながります。ハイボルテージは名前から強い刺激を連想されがちですが、パルス幅が短いため皮膚の刺激が少なく、深い部分に優しく届くことを伝えると不安が和らぎやすくなります。刺激の感じ方には個人差があるため、施術中に違和感があればすぐに教えてほしいことも合わせて案内すると良いでしょう。さらに、急性期では炎症の落ち着き、慢性期では筋肉の柔軟性向上など、目的に応じた使い分けを説明することで、施術への納得度が高まり、継続的なフォローにつながります。
まとめ|分類と特徴を理解して適切に説明・選定する

ハイボルテージは、分類上は低周波治療器の枠に含まれることがある一方で、刺激の届き方や得意な症状は一般的な低周波治療器とは明確に異なります。製品としての分類と、実際の作用に違いがあるため、施術者が正しい視点で整理しておくことが大切です。深部にまで電気が届きやすいハイボルテージは、痛みの強い急性症状から、筋肉の固さが続く慢性症状まで幅広く使える治療法であり、施術の選択肢を広げてくれます。
正しい理解が施術効果を安定させる理由
低周波治療器として扱われるケースがあるからといって、ハイボルテージを低周波と同じ感覚で使ってしまうと、本来の効果を発揮しにくくなります。電圧や刺激の届く深さが大きく異なるため、症状に合わせた適切な使い分けが欠かせません。刺激の特性を理解して選択することで、患部に必要なアプローチを行いやすくなり、患者さんの変化も安定して出やすくなります。施術前の説明にも説得力が生まれ、信頼関係の構築にもつながります。
患者満足度につながる説明方法
治療機器の違いを患者さんに説明する際は、専門的な用語を避け、刺激の届き方や目的をシンプルに伝えることが大切です。「深い部分にはハイボルテージ」「浅いところには低周波」といったわかりやすい表現を使うことで、初めて電気治療を受ける方でもイメージしやすくなります。説明に納得してもらえると治療への不安が減り、施術に前向きな気持ちを持ちやすくなります。こうした小さな積み重ねが、結果として満足度の向上につながります。
機器選びで迷った際の考え方
機器を導入する際は、分類だけにとらわれず、治療目的や施術スタイルに合っているかを基準にすると選びやすくなります。たとえば、スポーツ外傷の患者が多い院ではハイボルテージのメリットが大きく、慢性的な痛みを中心にみる場合は低周波治療器を中心に据える選択もあります。補助金や助成金の申請では医療機器分類が重要になりますが、実際の運用では「どんな症状にどのように使いたいか」が最優先です。導入後も患者さんの反応を確認しながら、治療の組み立てに反映させていくことで、より効果的な施術が実現できます。



