【接骨院・鍼灸院】補助金申請前にやってはいけないこと5選
ブログ監修者

プランナー
棚橋和宏
(たなはしかずひろ)
【保有資格】

整骨院の開業・運営にかかる費用を少しでも抑えたい、補助金を活用したいとお考えの方へ。
私は医療機器販売と補助金申請支援の経験を活かし、整骨院経営を資金面からサポートしています。
「自院が対象になるのか分からない」「申請手続きが不安」そんなお悩みに丁寧に寄り添い、最適な制度選びから申請サポートまで対応。
補助金を活用することで設備投資や差別化が可能となり、経営の安定化にもつながります。
まずはお気軽にご相談ください。先生の想いを形にするお手伝いをさせていただきます。
Contents
接骨院・鍼灸院が補助金申請前に注意すべき「やってはいけないこと」とは?

なぜ「申請前の行動」が重要なのか?
補助金の活用を考える際、最も見落とされがちなのが「申請する前にどこまで行動してよいのか」という点です。
接骨院・鍼灸院のように設備導入や広告出稿などを行う事業者にとっては、早く動きたいという気持ちもあるでしょう。
しかし、補助金制度では**「交付決定通知が出る前に実施した契約・発注・支払い」は対象外**というルールが定められています。
つまり、書類提出前や審査中に購入した機器やサービスは、補助の対象から外れてしまうのです。
このルールを知らないまま動いてしまい、「補助されると思っていた費用が認められなかった」という事例は少なくありません。
申請の前段階では、“何もしない”という選択が、もっとも確実な準備だと言えるのです。
よくあるNG行動が申請無効になる理由
たとえば、補助金の申請書を商工会に提出した翌日に、設備の契約書を取り交わしてしまった場合、それは「申請前の契約」と見なされ、対象外になります。
さらに、納品日が申請後であっても、契約日や発注日が前であれば、経費としてカウントされません。
このように、「いつ、何をしたか」が厳密にチェックされるのが補助金の特徴です。
「申請書を出したからもう大丈夫」「急いで導入しないと間に合わない」といった焦りが、結果的に申請を無効にしてしまうリスクにつながるのです。
この記事では、接骨院・鍼灸院が補助金を安全に活用するために、申請前にやってはいけない5つの行動を具体的に紹介していきます。
実際にあった失敗例を交えながら、どうすれば無効リスクを避けられるのかを解説していきますので、ぜひ最後までご覧ください。
よくある失敗①:補助金申請前に契約・発注をしてしまう

よくあるケース:導入を急ぎすぎた設備投資
補助金を使って治療機器を導入しようと考えていた接骨院の院長が、申請書の準備と並行して業者と話を進めていたケースです。
「納期がかかるから早めに契約だけ済ませておこう」と、交付決定前に見積書への押印・契約書の取り交わしを済ませてしまいました。
結果、交付決定後にその費用を申請したところ、「契約日が申請前であるため対象外」と判断され、補助の対象から除外されてしまいました。
せっかく準備したのに全額自己負担になってしまったという失敗は、補助金制度において決して珍しくありません。
なぜNGなのか?申請前の支出は対象外
多くの補助金では、「交付決定通知日以降に実施された経費のみが対象」と明確に定められています。
この“実施”とは、発注・契約・支払い・納品・使用開始などすべての行動が含まれると考えておくべきです。
つまり、まだ交付が決まっていない段階で、設備業者との契約や支払いをしてしまうと、それは「自己判断による先行投資」とみなされます。
補助金の制度設計上、そのような支出を後からさかのぼって補助することはできません。
このため、「申請書を提出した=準備OK」ではなく、「交付決定通知が届いた=スタートライン」と理解しておくことが重要です。
対処法:契約・発注・支払いの正しい順序を知る
この失敗を防ぐには、行動の順番を明確に理解しておくことが鍵です。
補助金において正しいステップは以下のとおりです。
- 事前準備(見積もり取得・相談など)
- 申請書類の提出
- 交付決定通知の受領
- 契約・発注・支払いの実施
- 実績報告
この順番を守ることが、補助金を無効にしないための最も確実な方法です。
また、見積もりを取る段階で業者にも「補助金申請中で、交付決定後に契約する予定です」と一言伝えておくことで、誤解や先走りを防ぐことができます。
よくある失敗②:申請内容と実際の支出内容がズレている

よくあるケース:計画と違う商品やサービスを購入
補助金申請の際に記載した設備やサービスの内容と、実際に導入したものが異なっていたというケースは少なくありません。
たとえば、当初は「最新型の干渉波治療器」を導入する計画で申請していたにもかかわらず、
補助金の交付決定後に「同等スペックで安価な別機種」に変更したケースです。
現場の判断では「コストを抑えられるし、性能も同じだから問題ないだろう」と考えての選択ですが、
実はこのような計画と実行のズレは、審査側にとって大きなリスクとみなされることがあります。
なぜNGなのか?審査で不整合とみなされる
補助金は、申請内容に基づいて「その経費が適正か」「目的に合っているか」を判断したうえで交付が決まります。
つまり、提出した事業計画書や見積書と異なる内容での支出は、制度上想定されていない行為とされるのです。
とくに、変更後の内容が申請内容と比べて「性能が劣る」「金額が大きく異なる」といった場合、
「計画通りに実施されていない」と判断され、補助対象外になる可能性があります。
このような事態になると、せっかく交付決定された補助金も減額または返還を求められるリスクがあります。
対処法:見積もり・仕様の一致を徹底する
このトラブルを防ぐには、申請時の内容と実際の発注内容を一致させることが大前提です。
見積もりを取得した業者から実際に購入し、申請書に記載した内容どおりの機器やサービスを導入することが、もっとも確実な方法です。
もしもやむを得ず変更が必要になった場合は、事前に事務局に連絡し、変更申請や承認手続きを行うことが必要です。
独断での変更はトラブルの元になるため、「勝手な変更はしない」を合言葉に進めましょう。
よくある失敗③:申請要件を満たしていないまま提出する

よくあるケース:従業員数・業種区分などの誤認
補助金制度には、それぞれ明確な「対象条件」が設けられています。
接骨院・鍼灸院の場合も例外ではなく、たとえば「常時使用する従業員が5人以下であること」や、「サービス業に分類されること」などの要件がある補助金が多くあります。
ところが実際には、自院のスタッフ構成や業種分類を正確に把握していないまま申請してしまうケースが見られます。
たとえば、事務スタッフやパートタイム従業員を除外してカウントしてしまったり、業種を「医療業」として分類してしまうなど、
制度上の要件と合致していないまま提出してしまうと、書類審査で不備や不適格と判断されてしまいます。
なぜNGなのか?対象外と判断され不採択に
補助金は、制度ごとに「誰を対象とするか」が明確に定められています。
そのため、一つでも要件に合致しない項目があると、審査の対象から外されてしまう可能性が高くなります。
特に接骨院や鍼灸院のような小規模事業者は、
法人登記していなくても事業として認められる場合がありますが、その場合でもスタッフの雇用形態や就業実態がチェックされます。
申請要件を満たしていなければ、たとえ事業計画が優れていても審査対象外となり、申請の機会を無駄にしてしまいます。
対処法:制度ごとの要件を事前に確認する
このようなミスを防ぐには、申請を検討する段階で、「自分の院が対象要件に合っているか」を慎重に確認することが重要です。
特に以下の3点は必ずチェックしましょう。
- 業種分類(接骨院・鍼灸院は多くの場合「サービス業」)
- 常時使用する従業員数(役員や短期バイトを除いてカウント)
- 開業年数や地域などの追加要件(自治体補助金などで特に注意)
また、判断に迷うときは商工会・商工会議所や補助金窓口に事前相談を行うことで、要件を正確に確認することができます。
初歩的な要件ミスは回避可能なトラブルですので、時間をかけて確認する価値は十分にあります。
よくある失敗④:見積書や証拠書類の不備・不足

よくあるケース:見積書に社名・日付・内訳がない
補助金申請では、事業にかかる予定の経費を証明するための見積書や資料の提出が必須です。
しかし、「業者から簡易的に出してもらった見積書に社名や日付が記載されていなかった」「製品名や仕様が曖昧だった」というケースは多く見られます。
たとえば、「治療機器 一式 100万円」とだけ記載された見積書では、何が対象で、どういった機能があるのかが分からず、審査側が適切な判断を下せません。
こうした証拠書類の不備や情報不足は、経費の正当性を証明できない要因となり、補助金対象から外されるリスクが高まります。
なぜNGなのか?経費の証明が不十分
補助金は「公的なお金」であり、使途の透明性と妥当性が強く求められます。
そのため、提出される見積書や契約書、請求書などは、次のような基本要件を満たしている必要があります。
- 発行者(会社名・住所・電話番号など)の記載がある
- 発行日が明記されている
- 製品名・型番・単価・数量・金額などが明細として記載されている
これらが一つでも欠けていると、「本当にその内容で契約されるのか」「金額に根拠があるのか」といった疑念が生じ、結果的に経費の一部またはすべてが否認される可能性があります。
特に複数の業者から見積もりを取る必要がある補助金制度では、比較対象として成立しない見積書があると、それ自体が不備として扱われてしまいます。
対処法:証拠書類の整備と複数見積の準備
まず、見積書は申請前にチェックリストを作って確認することをおすすめします。
以下のようなポイントを意識しましょう。
- 業者名・連絡先・押印があるか
- 発行日が最新のものになっているか
- 内容が詳細に書かれているか(品目名・型番・単価など)
また、見積もりを1社だけで済ませず、複数社から取得することも基本です。
制度によっては「相見積もりが必須」の場合もあるため、その要件に従って適切な比較資料を準備しましょう。
さらに、見積書だけでなく、カタログや商品ページの印刷など補足資料もあわせて提出することで、審査側に対してより強い説得力を持たせることができます。
よくある失敗⑤:申請前の準備不足でスケジュールに間に合わない

よくあるケース:申請締切直前に慌てて準備
補助金の情報を知って「これはチャンスだ」と思い立ち、締切間近になってから一気に書類を準備しようとするケースは非常に多く見られます。
しかし、実際の申請には事業計画書の作成、見積書の取得、商工会との面談など、多くの準備工程が必要です。
とくに接骨院・鍼灸院のように日常業務が忙しい業種では、診療の合間に書類を作ろうとしても思うように進まず、締切ギリギリになって申請断念という結果になることもあります。
また、慌てて作成した書類には誤記や記載漏れが発生しやすく、結果として不採択になるリスクも高まります。
なぜNGなのか?不備の修正が間に合わない
補助金の申請書類は、一度提出したあとに軽微な修正が認められるケースもありますが、
多くの場合は「提出書類がすべて正確であること」を前提として審査が行われます。
そのため、締切直前の提出では、万が一不備があった場合に修正の時間が取れず、そのまま不採択になる可能性が高くなります。
また、商工会や申請窓口も締切直前には非常に混雑し、相談や確認が十分に受けられないこともあります。
こうした時間切れによる失敗は、実にもったいない申請機会の損失です。
対処法:逆算スケジュールで余裕をもって進める
申請成功のためには、公募開始と同時に準備を始める意識が大切です。
まずは以下のステップでスケジュールを立てましょう。
- 公募要領の確認(制度の内容・必要書類・期限を把握)
- 導入予定の設備や事業内容を明確にする
- 見積書などの書類収集
- 商工会・商工会議所との事前相談
- 計画書の作成・提出
これらのステップを逆算してスケジュール化することで、「急いで書類を作ったせいで内容が浅くなった」「必要書類がそろわなかった」といった事態を防ぐことができます。
余裕のある計画が、採択率アップとトラブル回避の最大のポイントです。
失敗を防ぐために今からできる3つの準備ポイント

補助金の公募要領を最初に熟読する
補助金申請で最も大切なのは、「制度のルールを理解すること」です。
特に多くのトラブルが発生するのは、公募要領(制度の説明書)を読まずに申請を進めてしまうことが原因です。
公募要領には、対象となる事業や経費の範囲、必要書類、申請の流れ、NG行動などがすべて記載されています。
これを読み飛ばしてしまうと、「あとで申請できないとわかった」「要件を満たしていなかった」といった致命的な失敗につながりかねません。
まずは一通り読み込み、気になる箇所はマーカーを引いたり、専門家に確認したりすることが、安心して準備を進める第一歩です。
専門家やサポート業者に早めに相談する
補助金申請に不慣れな方ほど、第三者の視点を早めに取り入れることが成功の鍵となります。
とくに接骨院や鍼灸院のように本業が忙しい事業者にとって、書類作成や要件確認の手間は大きな負担です。
最近では、補助金専門の行政書士や中小企業診断士、補助金サポート会社などが、相談や代行サービスを行っています。
少し費用はかかるものの、「不採択による時間と労力のロス」を考えると、費用対効果は十分に高い選択肢です。
不明点がある場合や、自信が持てない部分は、早めにプロに確認することで、失敗を未然に防ぐことができます。
導入したい設備やサービスを明確にしておく
補助金は「何に使うか」をはっきりと伝える必要があります。
そのため、申請書の作成前に、導入したい設備・サービスの内容、目的、得られる効果をできるだけ具体的にしておくことが大切です。
たとえば、「インボディなどの測定機器を導入して、施術効果の可視化を図り、自由診療の質を高めたい」など、
導入の理由と事業計画とのつながりが明確であることが、審査上の加点にもつながります。
事前に業者と相談してカタログや製品説明を取り寄せたり、同業者の導入事例を調べたりすることで、計画に説得力を持たせることができます。
まとめ|確実な補助金活用のためには「申請前」が重要
補助金活用の成功は「準備8割」で決まる
補助金申請における最大の落とし穴は、「提出前のちょっとした油断や思い込み」です。
接骨院・鍼灸院の経営者にとって、忙しい日常業務のなかで補助金申請の準備を行うのは簡単なことではありませんが、
ほんのわずかな行動の違いが、補助金の採択・不採択を左右する重大な分岐点になります。
今回ご紹介した「やってはいけないこと5選」は、いずれも事前に知っておけば防げる内容ばかりです。
逆に言えば、補助金の成功は“申請前の準備”でほぼ決まるといっても過言ではありません。
失敗事例から学んでリスクを事前に防ごう
本記事で取り上げた失敗例は、実際に多くの現場で起きているものです。
契約のタイミングを誤ったり、要件を見落としたりといったトラブルは、事前の確認と行動で必ず防げます。
また、補助金制度は毎年見直しやルール変更が行われるため、最新の情報を確認しながら慎重に進める姿勢が大切です。
「大丈夫だろう」ではなく、「確認してから動こう」という意識を持つことが、経営リスクを減らし、安心して補助金を活用する第一歩になります。