事業効果報告書とは?提出しないとどうなる?基礎知識まとめ
ブログ監修者

プランナー
棚橋和宏
(たなはしかずひろ)
【保有資格】

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Contents
事業効果報告書とは?提出の目的と基本構成を解説

事業効果報告書の役割とは
事業効果報告書とは、補助金を活用した事業がどのような成果を上げたのかを報告するための書類です。事業終了後に、その効果や進捗状況、売上や利益の変化などを明確にし、補助金が適切に使われたかを示すことが求められます。
報告書は、補助金を管理する機関に提出する義務があり、単なる形式的な報告ではありません。補助金の支給はこの書類に基づいて最終的に評価されるため、事業者として誠実かつ正確に提出する必要があります。
なぜ提出が義務化されているのか
補助金は税金などの公的資金で成り立っており、その使い道が正しいかどうかを確認する責任が事業者に課されています。そのため、補助事業が終了した後に「結果を報告する義務」が生じます。
報告書の内容をもとに、国や自治体は補助制度の有効性を判断します。事業の透明性を確保し、不正利用を防ぐ役割もあるため、提出が義務化されているのです。
どのような補助金で必要になるか
小規模事業者持続化補助金、IT導入補助金、業務改善助成金など、さまざまな補助金制度で事業効果報告書の提出が求められます。接骨院や鍼灸院などが活用するケースでも例外ではありません。
たとえば、電気治療器の導入、予約システムの開発費、広告宣伝費などを補助金でまかなった場合は、その後の成果や経済的効果を明確に報告する必要があります。
提出しないとどうなる?未提出による4つのリスク
補助金の交付決定が取り消される
事業効果報告書の提出は、補助金を正式に受け取るための必須手続きです。これを提出しない場合、補助金の交付決定が取り消される可能性があります。補助事業が終了した後、期限内に報告しなければ「交付規程違反」と判断されるため、支給が認められなくなってしまいます。
一度取り消されると、せっかくの事業努力が無駄になり、導入した機器やサービスのコストをすべて自己負担でまかなうことになりかねません。
次回の補助金申請に悪影響が出る
報告書を提出していない、または不備があった場合、次回以降の補助金申請に影響することがあります。申請時に「過去の実績」が問われる制度も多く、提出義務を怠っていた記録があると、審査でマイナス評価につながる可能性があります。
補助金によっては、補助対象外事業者として扱われます。
接骨院や鍼灸院のように地域密着型の事業では、継続的な制度活用が経営の鍵となるため、1回の失敗が長期的な不利を生む恐れがあります。
返還請求を受ける可能性がある
補助金をすでに受け取っていても、報告書を出していない場合には「返還請求」が発生することもあります。たとえ事業自体は正しく実行していても、報告を怠れば「実績が確認できない」と判断され、資金の返納を求められるケースがあります。
返還金には利息が付くこともあり、資金繰りへの悪影響は大きくなります。特に小規模事業者にとっては経営を揺るがす要因となりかねません。
信用の低下につながるリスク
行政や自治体だけでなく、商工会議所、金融機関、取引先など、さまざまな外部関係者は事業者の補助金実績や対応状況を見ています。提出を怠ることは「ルールを守らない事業者」としての印象を与え、将来的な信用にも悪影響を与えかねません。
たとえば、今後の融資や提携の際にネガティブな履歴として捉えられることもあり、報告書を出さないことが信頼損失につながるリスクを孕んでいます。
正しく報告するために必要な記載項目

事業の進捗状況
まず報告書には、補助事業が終了した後、現在までにどのような進捗があったかを記載します。設備の導入が完了しているか、システムが稼働しているかなど、計画と実施内容が一致していることを確認するための項目です。
たとえば、電気治療器を導入した場合は、いつから稼働しているのか、どういった患者層に使われているのかを簡潔に説明します。
事業成果の概要(売上・利益)
売上高の変化と比較
報告書では、補助事業を行う前の売上高と、補助事業実施から1年間の売上高を比較して記載します。売上がどれだけ変化したかを示すことで、補助金の効果を明らかにすることが目的です。
たとえば、前年の売上が1,000万円で、補助事業後に1,100万円に増えた場合は、10%の増加があったと記載します。
売上総利益の変化と比較
売上総利益(粗利益)についても同様に、事業前と事業後の数値を比較します。単なる売上の増加ではなく、利益がどれだけ伸びたかを見ることで、収益性の向上があったかを評価できます。
この数値は、施術効率の向上や単価アップなど、具体的な成果に結びつく重要な指標です。
売上高・利益の増減率
売上や利益の増減率は、数値を客観的に評価するために必要な情報です。前年度と比べてどれだけ成長したかをパーセンテージで記載します。
たとえば、売上が10%増、売上総利益が15%増といった数値があると、事業の効果がより明確になります。
賃金引上げの状況(該当する場合)
補助金申請時に「賃金引上げ枠」や「賃上げ加点」を受けた場合は、報告書にもその結果を記載する必要があります。具体的には、事業場内の最低賃金がどう変わったか、地域別最低賃金に対してどの程度上乗せしたかを示します。
たとえば、地域別最低賃金が1,050円で、事業場内の最低賃金が1,100円になった場合は、50円の上乗せが達成されたことになります。
提出期限・提出方法のポイントと注意点
提出期限の基本ルール
事業効果報告書の提出期限は、「補助事業の終了日から1年後の翌月から30日以内」とされています。具体例として、事業終了日が2023年4月20日であれば、提出期限は2024年5月30日になります。
この期限は、補助金制度ごとに細かく定められており、少しでも遅れると受理されない可能性があります。書類の準備には時間がかかるため、提出期限の3週間前までには取りかかっておくのが理想です。
提出方法(郵送とJグランツの違い)
提出方法は大きく分けて2つあり、「郵送」と「電子申請(Jグランツ)」があります。どちらを使うかは補助金の種類によって異なるため、必ず交付決定通知や事務局の案内に従いましょう。
郵送の場合は、書類を印刷し、指定の宛先へ期日内に到着するよう送付します。消印有効ではなく「必着」が条件となるケースもあるため注意が必要です。
一方、Jグランツを使う場合は、事業者用のアカウントを取得し、電子ファイルとしてアップロードして提出します。利便性は高いですが、システム操作に慣れていない場合は時間がかかることもあるため、事前準備が欠かせません。
提出前に確認すべき書類とチェックリスト
報告書の作成が完了したら、必ず以下の点を確認してから提出することが重要です。
まず、「記載漏れがないか」を見直しましょう。特に売上や利益の数値、賃金に関する記述など、誤差や空欄があると受理されないことがあります。
次に、「添付書類の不足がないか」を確認します。売上証明や給与台帳、補助対象経費の領収書や明細など、補助金制度ごとに必要な書類は異なります。
そして、「提出先と提出方法を誤っていないか」も再チェックしましょう。これらを確認することで、再提出や修正の手間を防ぎ、スムーズな受理につなげることができます。
まとめ|事業効果報告書を適切に提出して補助金の信頼を守ろう

適切な提出が次のチャンスにつながる
事業効果報告書は、単に補助金の成果を示すだけでなく、事業者としての信頼や今後の支援制度の活用にも直結します。提出をきちんと行えば、次回の補助金申請でも「実績のある事業者」として有利に働く可能性があります。
逆に、報告を怠ったり不備が多かったりすると、補助金の返還だけでなく、信用の失墜や申請資格の制限といった大きな不利益を受けるリスクがあります。経営の安定と成長を支える制度だからこそ、丁寧な対応が求められます。
今後の補助金活用に向けた備えとは
事業効果報告書の提出を通じて、自社の売上や利益、施策の成果を数字で見える化することができます。これは、次の経営判断や補助金活用の土台になる重要な資料でもあります。
そのため、報告書作成は単なる義務としてではなく、経営改善の機会と捉えることが大切です。今後も補助金を活用していきたいと考えるなら、報告書をテンプレート化しておく、数字の管理を日常的に行うといった準備を日頃から進めておくと安心です。