小規模事業者持続化補助金とは?施術所が知っておきたい対象と使い道
ブログ監修者
行政書士/医療経営士3級
棚橋 和宏
(たなはし かずひろ)
emio株式会社 補助金・助成金情報担当
笑みを行政書士事務所 行政書士
【保有資格】
(令和8年7月15日登録)
大手リハビリ機器メーカーで7年半、医療機器コンサルタント会社で4年勤務。現在はemio株式会社にて、接骨院・整骨院・鍼灸院向けの医療機器導入、補助金・助成金情報の発信、設備投資に関する相談対応を行っています。
令和8年7月15日付で行政書士登録。笑みを行政書士事務所を開設し、補助金申請書類の作成支援、許認可に関する相談、事業者向けの書類作成支援にも対応しています。
本ブログでは、施術所業界の現場感と行政書士としての知見をもとに、補助金・助成金、設備導入、Web集客、AI活用などに関する情報をわかりやすくお届けします。
小規模事業者持続化補助金は、小規模な事業者が販路開拓などに取り組む費用の一部を支援する、国の補助金です。整骨院・鍼灸院・整体院といった施術所も、条件を満たせば対象になり得ます。次回の公募(一般型・通常枠 第20回)は2026年11月からの受付開始が予定されており、活用を考えるなら今から準備しておくと動きやすくなります。本記事では、これから申請を検討する施術所の院長やスタッフに向けて、対象となる条件や使い道、申請の流れの基本を整理します。金額や締切は改定されるため、実際の申請時には必ず最新の公募要領をご確認ください(本記事の内容は2026年9月16日時点)。
小規模事業者持続化補助金とは

まずは制度の目的と、金額の基本的な枠組みを押さえます。名称のとおり「小規模事業者」を対象に、事業の継続と成長を後押しする制度です。
制度の目的は「販路開拓」
この補助金は、経営計画にもとづく地道な販路開拓の取り組みや、販路開拓とあわせて行う業務効率化(生産性向上)の取り組みを支援するものです。単に設備を買うための補助ではなく、「どうやって新しいお客様に来てもらうか」という計画があることが前提になります。
施術所にあてはめると、例えば地域への認知を広げるための取り組みや、来院につなげるための情報発信などが、販路開拓の考え方に当たります。ただし、計画の中身や経費が対象になるかどうかは公募要領の定めによるため、思いつきではなく計画として組み立てることが大切です。
補助率と補助上限
一般型・通常枠では、補助率は対象経費の3分の2、補助上限額は50万円とされています。つまり、対象となる経費が75万円であれば、その3分の2にあたる50万円までが補助の目安になります。なお、賃上げなどの一定の要件を満たす特例を活用できる場合には、上限が最大250万円まで引き上げられるケースもあります。
注意したいのは、これはあくまで上限であり、申請すれば必ず満額が支給されるものではないという点です。補助金には審査があり、経営計画の内容などをもとに採否が判断されます。「必ずもらえる」ものではなく、「計画が認められれば経費の一部が後から補助される」ものと捉えておくことが大切です。
まずは「一般型・通常枠」を基本に
持続化補助金にはいくつかの枠や類型がありますが、多くの施術所がまず検討することになるのは一般型・通常枠です。本記事も通常枠を前提に整理しています。創業間もない事業者向けの枠など、状況に応じて適した枠が異なる場合もあるため、自院の状況に合う枠を確認することが出発点になります。
施術所は対象になるのか

「そもそも自院が対象なのか」は、多くの院長が最初に気にする点です。対象は「小規模事業者」に限られ、その定義は業種と従業員数で決まっています。
小規模事業者の定義
小規模事業者に当たるかどうかは、常時使用する従業員の数で判断されます。業種によって基準が異なり、商業・サービス業(宿泊業・娯楽業を除く)は従業員5人以下、サービス業のうち宿泊業・娯楽業は20人以下、製造業その他は20人以下が目安とされています。
ここでいう「常時使用する従業員」には、会社役員や個人事業主本人、一定の条件に当たるパートタイム労働者などは含まないとされています。数え方には細かい定めがあるため、境界に近い場合は公募要領で確認することが必要です。
施術所はどう当てはまるか
整骨院・鍼灸院・整体院といった施術所は、一般的にサービス業(宿泊業・娯楽業を除く)に当たると考えられ、その場合は常時使用する従業員が5人以下であることが一つの目安になります。個人で開業している施術所や、少人数で運営している施術所の多くは、この範囲に収まる可能性があります。
例えば、院長1人にスタッフが数名という規模であれば、対象になり得ると考えられます。ただし、実際の該当可否は従業員の数え方や事業形態によって変わるため、最終的には公募要領と、後述する商工会・商工会議所への相談で確認することが大切です。
対象外・注意が必要なケース
一方で、従業員数が基準を超える場合や、補助の対象としてふさわしくないと定められた事業に当たる場合は、対象外になることがあります。また、法人の場合には、資本金や出資金が一定規模以上の法人に株式のすべてを保有されていないことなど、追加の要件が設けられています。
自院が対象かどうかを自己判断だけで進めると、準備を進めてから対象外と分かる事態になりかねません。早い段階で要件を確認しておくことが、無駄な労力を避けることにつながります。
何に使えるのか

対象になりそうだと分かったら、次は「何に使えるのか」です。補助対象経費は公募要領で細かく定められており、施術所での使い道もその範囲で考えることになります。
補助対象経費の種類
一般型・通常枠の補助対象経費には、機械装置等費、広報費、ウェブサイト関連費、展示会等出展費、旅費、新商品開発費、借料、委託・外注費などが挙げられています。いずれも、経営計画にもとづく販路開拓や業務効率化に必要な経費であることが前提です。
これらの区分は、経費の性質によって分かれています。同じ「宣伝のための費用」でも、紙のチラシは広報費、ウェブサイトやウェブ広告に関わるものはウェブサイト関連費、というように区分が変わる点に注意が必要です。
ホームページ・広報での活用
施術所での使い道としてイメージしやすいのが、ホームページや広報に関する取り組みです。例えば、新規開拓を目的としたホームページの制作・改修や、チラシ・看板といった広報の取り組みが考えられます。
ただし、ウェブサイト関連費には上限が設けられており、ウェブサイト関連費だけを単独で申請することはできないとされています。ホームページの費用を中心に考えている場合は、この制限があることを前提に計画を立てる必要があります。上限額の詳細は公募要領で確認してください。
機器・システム導入での活用
販路開拓や業務効率化につながる機器やシステムの導入も、内容によっては対象になり得ます。例えば、予約や受付の仕組みを整えて対応できる幅を広げる、といった取り組みが考えられます。
ただし、施術に使う機器であれば何でも対象になるわけではありません。あくまで販路開拓や生産性向上という目的につながることが前提であり、目的との関係を経営計画の中で説明できることが求められます。対象になるかどうかは、経費の区分と計画との結びつきで判断されます。
使えない・注意が必要な経費
補助金には、対象にならない経費も明確に定められています。一般的な運営費や、日常的に発生する費用、事業と直接関係のない支出などは対象外です。また、交付決定の前に発注・購入してしまった経費は、原則として対象になりません。
「これは対象になるはず」と思い込んで先に発注してしまうと、補助を受けられなくなるおそれがあります。対象経費の判断は、必ず公募要領と照らし合わせて行うことが大切です。補助金・助成金にどのような種類があるかは、別記事「補助金・助成金は年間何種類ある?」でも紹介しています。
申請の流れと商工会・商工会議所の役割

持続化補助金の特徴の一つが、申請にあたって商工会・商工会議所が関わる点です。ここを知らないと、締切間際で慌てることになりがちです。
経営計画書づくりが中心
申請の中心になるのは、経営計画書と補助事業計画書です。自院の現状や強み、これからどのように販路を広げていくのかを、審査する第三者が読んで理解できるように書きます。この計画の内容が、審査で大きく評価される部分です。
計画書は一朝一夕には書けません。日々の業務の合間に少しずつ整理していくことになるため、公募開始の前から準備を始めておくと、締切に追われずに済みます。
事業支援計画書(様式4)の発行
持続化補助金では、地域の商工会・商工会議所が発行する事業支援計画書(様式4)が必要とされています。これは申請者が自分で作るものではなく、商工会・商工会議所に相談したうえで発行してもらう書類です。
そのため、申請を考えたら早めに地域の商工会・商工会議所に相談することが欠かせません。様式4の発行には受付の締切が別に設けられていることが多く、申請全体の締切よりも前に動く必要があります。
交付決定前に発注しない・後払いである
補助金に共通する重要な原則として、交付決定の通知を受け取る前に発注・購入をしてしまうと、その経費は対象外になり得ます。また、補助金は経費を支払った後に交付される「後払い」が基本です。
つまり、いったんは自院の資金で費用を立て替え、あとから補助が入るという流れになります。この点を踏まえ、資金繰りにも余裕を持って計画することが大切です。
公募スケジュールの例
一般型・通常枠の第20回については、申請の受付開始が2026年11月5日、申請の受付締切が2026年12月15日、事業支援計画書(様式4)の発行受付締切が2026年12月4日とされています(2026年9月16日時点の情報)。
このように、様式4の締切は申請全体の締切より前に設定されています。回次や締切は今後も更新されるため、実際に申請する際は、必ず最新の公募要領で日程を確認してください。
施術所が今から準備しておくこと

最後に、公募が始まる前の段階でできる準備を整理します。動き出しが早いほど、締切に追われずに質の高い申請につなげやすくなります。
まず商工会・商工会議所に相談する
対象になるかの確認も、様式4の発行も、地域の商工会・商工会議所が窓口になります。まずは一度相談し、自院が対象になりそうか、どのような取り組みが計画として立てられそうかを確認することが第一歩です。
販路開拓の計画を言葉にする
「どうやって新しいお客様に来てもらうか」という考えを、計画として言葉にしておくことも大切です。日頃感じている課題や、やってみたい取り組みを書き出しておくと、計画書づくりがスムーズになります。
見積もりや必要書類を早めにそろえる
ホームページの制作や機器の導入を考えているなら、早めに見積もりを取っておくと、金額の根拠を示しやすくなります。また、決算書や確定申告書などの書類は取得に時間がかかることもあるため、余裕を持って整理しておくことが安心につながります。
まとめ
小規模事業者持続化補助金は、施術所も条件を満たせば対象になり得る、販路開拓向けの補助金です。一般型・通常枠では補助率が対象経費の3分の2、補助上限額が50万円とされていますが、これは上限であり、審査を経て採否が判断されます。対象は「小規模事業者」に限られ、施術所はサービス業として従業員5人以下が一つの目安になります。
使い道はホームページや広報、販路開拓につながる機器・システムなどが考えられますが、ウェブサイト関連費の上限や、交付決定前に発注しないといったルールがあります。申請では経営計画書づくりが中心となり、商工会・商工会議所が発行する事業支援計画書(様式4)も必要です。次回公募は2026年11月からの受付開始が予定されているため、まずは地域の商工会・商工会議所への相談から、少しずつ準備を進めておくとよいでしょう。金額・要件・締切は改定されるため、申請時には必ず最新の公募要領で確認することが欠かせません。


