開業準備中に使える補助金はどう探す?検索サイトの「開業準備中」で絞るときの見方と順番
ブログ監修者
行政書士/医療経営士3級
棚橋 和宏
(たなはし かずひろ)
emio株式会社 補助金・助成金情報担当
笑みを行政書士事務所 行政書士
【保有資格】
(令和8年7月15日登録)
大手リハビリ機器メーカーで7年半、医療機器コンサルタント会社で4年勤務。現在はemio株式会社にて、接骨院・整骨院・鍼灸院向けの医療機器導入、補助金・助成金情報の発信、設備投資に関する相談対応を行っています。
令和8年7月15日付で行政書士登録。笑みを行政書士事務所を開設し、補助金申請書類の作成支援、許認可に関する相談、事業者向けの書類作成支援にも対応しています。
本ブログでは、施術所業界の現場感と行政書士としての知見をもとに、補助金・助成金、設備導入、Web集客、AI活用などに関する情報をわかりやすくお届けします。
開業準備中に使える補助金は、開業してからでは申請できないものがあります。物件探し・内装工事・機器の手配と、決めることが多い時期だからこそ、補助金は「あとで調べる」になりがちです。本記事では、これから施術所やクリニックを開業する先生に向けて、検索サイト「施術所・クリニックの補助金さがし」の「開業準備中」の絞り込みを例に、制度の見方と、開業準備のどの時点で何を確かめるとよいかを整理します(本記事の内容は2026年10月21日時点)。
開業準備中の補助金は「時期」で使えるかが決まる

開業後には申請できない制度がある
開業準備中に関係する補助金の多くは、市区町村などが行う創業支援の制度です。こうした制度には、申請の時点で開業していないことを条件にしているものがあります。開業してから存在に気づいても、その時点では対象外になってしまいます。
例えば、空き店舗を改装して開業する人向けの補助金では、改修工事そのものに時期の決まりがあることがあります。岐阜県郡上市の「空き店舗等活用事業補助金」では、補助の対象となる改修を「営業を開始する前に行う改修に限る」としています。開業後に行った改修は、この制度の対象になりません。(同市のページの更新日は2023年3月28日です。実際に検討する際は、最新の状況を市に確認する必要があります)
「開業後○年以内」の制度もある
一方で、開業前だけでなく、開業してから一定期間内であれば申請できる制度もあります。創業支援の制度の中には「開業後○年以内」といった形で対象を定めているものがあり、開業直後の時期にも選択肢が残っています。
ただし、どちらの形なのかは制度ごとに違います。「創業支援」という名前だけでは、開業前に申請が必要なのか、開業後でも間に合うのかは分かりません。 名前で判断せず、対象者の欄を読む必要があります。
準備が進むほど選べる制度が減る
開業準備は、物件の契約、内装工事の発注、機器の購入と進んでいきます。補助金の多くは、交付が決まる前に契約や発注をした経費を対象にしません。そのため、準備が進むほど、あとから補助金を組み込む余地は小さくなります。
例えば、内装工事の契約を済ませてから改装の補助金を見つけても、その工事は対象外になる可能性があります。開業準備の早い段階で「どんな制度があるか」だけでも把握しておくと、契約の順番を組み立てる余地が残ります。
検索サイトの「開業準備中」で何が見えるか

「開業の状況」で絞り込む
施術所・クリニックの補助金さがしには、「開業の状況」という絞り込みがあり、「開業準備中」と「開業している」を選べます。
「開業準備中」を選ぶと、開業前の方むけの制度に加えて、開業前後のどちらでも使える制度と、どちらとも判断がつかない制度が表示されます。開業前の方だけが対象の制度に絞り込まれるわけではない点に注意が必要です。判断がつかない制度もあえて残しているのは、読み落としによって候補から外れてしまうのを避けるためです。
「開業前の方むけ」の印を目印にする
一覧のカードのうち、開業前の方を対象にした制度には「開業前の方むけ」の印が付きます。カードの「対象」の欄にも、開業前向けか、開業前後のどちらでもよいかが表示されます。
例えば、開業準備中で候補を眺めるときは、まずこの印の付いた制度から目を通すと、開業後には使えないかもしれない制度を先に確認できます。開業前後のどちらでも使える制度は、開業後にあらためて検討する余地があります。
地域・業態・受付状況と組み合わせる
開業準備中の補助金は、市区町村の制度が中心です。そのため、地域の絞り込みで開業予定地の都道府県と市区町村を選ぶことが、もっとも効果的な絞り方になります。
あわせて、業態で「保険あり(接骨院・鍼灸院)」「自費(整体院・カイロ)」「クリニック」のいずれかを選ぶと、その業態が対象または条件つきで対象になり得る制度だけが残ります。さらに「受付中・予告だけ表示する」にチェックを入れると、いま申請できる制度と、これから受付が始まる制度に絞れます。
ただし、開業予定地がまだ決まっていない段階では、候補の市区町村をいくつか切り替えて見比べる使い方もできます。どの市区町村に開業するかで、使える制度の顔ぶれが変わることがあるためです。
開業前の制度として多い種類
「開業準備中」で表示される制度には、名前に「創業」「起業」「空き店舗」「開業」「承継」などを含むものが多く見られます。市区町村の創業支援補助金のほか、空き店舗の活用、事業の承継に関する制度などです。
都道府県の制度には、診療所の承継や開業を支援するものもあります。クリニックの開業を予定している場合は、市区町村だけでなく都道府県の制度も確認しておくとよいでしょう。
制度の中身を読むときに見るところ

申請の時点で開業していないことが条件か
候補を見つけたら、まず対象者の条件を読みます。見るべきは、申請の時点で開業前である必要があるのか、開業後一定期間内なら申請できるのかです。
この違いは、申請の時期を決めるうえで最も大事な情報です。サイトのカードから「詳しく見る」を開くと、判定の理由や注意点を確認できます。最終的には、出典のリンクから自治体の公式ページへ進み、要綱や募集案内の本文で確かめます。
創業セミナーの受講などが要件になっていないか
創業支援の補助金には、市区町村が行う創業支援を受けていることを要件にしているものがあります。
例えば大阪府富田林市では、創業セミナーを受けて支援を受けたことの証明書を発行された人が、創業に関わる優遇措置を利用できる仕組みです。同市のページには、原則として、補助金や優遇措置を利用する場合は創業セミナーをすべて受講することが条件になると書かれています。
こうした要件がある場合、補助金の申請より前に、セミナーの受講という準備が必要になります。 セミナーは開催時期が決まっていることが多いため、開業日から逆算して受講の時期を確かめておく必要があります。
施術所・クリニックが対象業種に入っているか
創業支援の制度は、業種を幅広く対象にしていることが多い一方で、一部の業種を対象外にしていることがあります。医療に関わる業種の扱いは、制度によって分かれます。
例えば、空き店舗の活用補助金で「小売業、飲食店、サービス業など」を対象としていても、施術所やクリニックがそこに含まれるかどうかは、ページに書かれていないことがあります。郡上市の制度のページにも、医療機関や施術所の扱いについての記載はありません。こうした場合は、対象業種の一覧や要綱を確認し、それでも分からなければ窓口に問い合わせることになります。
市区町村の制度で施術所が対象になるかどうかの見分け方は、「市区町村の補助金、施術所も対象になる?」で実例とともに整理しています。
住所・営業日数などの条件も確認する
開業前の制度には、開業予定地との結び付きを求める条件が付くことがあります。郡上市の制度では、個人の場合は開業日までに市内に住所を置くこと、法人の場合は開業日までに市内で法人設置の届出を行うことが求められています。また、開業後3年以上の継続営業や、原則週5日以上の営業も要件になっています。
例えば、週の営業日を少なくして始める計画であれば、営業日数の条件に合わない可能性があります。補助金の条件が、開業後の営業の形まで縛ることがあるため、事業計画と照らし合わせて読むことが大切です。
開業準備のどの時点で何をするか

物件を決める前:地域の制度を一通り見ておく
物件探しの段階では、候補の市区町村ごとに「開業準備中」で絞り、どんな制度があるかを一通り見ておきます。この段階では、申請できるかを細かく判断する必要はありません。
例えば、空き店舗の活用補助金がある地域では、物件の選び方そのものが補助金の対象かどうかに関わることがあります。物件を契約したあとでは変えられない条件があるため、契約の前に見ておく意味があります。
契約・発注の前:交付決定との順番を確かめる
内装工事や機器の契約・発注の前には、候補の制度の申請手続きの流れを確かめます。補助金の多くは「交付申請 → 交付決定 → 事業の実施」という順番で進み、交付決定の前に契約・発注した経費は原則として対象になりません。
郡上市の制度でも、手続きは「交付申請 → 交付決定 → 実績報告 → 金額確定 → 補助金請求 → 交付」という流れで示されています。工事の日程と補助金の手続きの日程を並べ、どちらを待つ必要があるのかを先に決めておくことが大切です。
補助金の入金は事業の実施後になるため、立て替えの資金も必要になります。入金までの流れと資金繰りの考え方は「補助金は「後払い」?」で整理しています。
開業前後:窓口に早めに相談する
候補の制度が見つかったら、自治体の担当窓口や、商工会・商工会議所に早めに相談しておくと、要件の解釈や書類の準備を進めやすくなります。創業セミナーなどの受講が必要な制度では、その案内もあわせて受けられることがあります。
ただし、窓口への相談は申請そのものではありません。相談しただけで受付の順番が確保されるわけではないため、受付期間と提出方法は公式ページで別に確かめる必要があります。
開業後:「開業している」に切り替えて見直す
開業したら、サイトの「開業の状況」を「開業している」に切り替えて、あらためて候補を見直します。開業後の事業者を対象にした制度や、開業前後のどちらでも使える制度が表示されます。
例えば、設備の追加や、販路の開拓、スタッフの採用に関わる制度は、開業後の運営が始まってから検討することになります。開業前と開業後では、見るべき制度の顔ぶれが入れ替わるため、切り替えて見直すことに意味があります。
使うときの注意点

判定は確認の入口であり、結論ではない
サイトの「開業前の方むけ」の印や業態ごとの判定は、制度の本文を読んだうえでの当サイトの解釈です。制度の実施主体の判断ではありません。
申請できるかどうかの最終的な確認は、必ず公式ページの要綱と窓口で行う必要があります。 サイトは、確認すべき制度を絞り込むための道具として使うのが適切です。
古い情報が混じることがある
補助金は年度ごとに内容が変わり、受付期間も制度ごとに異なります。サイトでは各制度に最終確認日を表示しており、「最近確認したものだけ表示する」にチェックを入れると、出典ページを確認してから30日以内の制度だけに絞れます。
ただし、確認から間もない制度でも、その後に内容が変わっている可能性はあります。金額・要件・締切は、申請の前に公式ページで必ず確かめてください。
補助金を前提に開業計画を組まない
補助金は審査があり、申請しても採択されるとは限りません。また、交付決定を待つことで工事や開業の時期が後ろにずれることもあります。
開業の時期や資金計画を補助金に合わせすぎると、採択されなかったときに計画全体が崩れます。補助金は「使えれば計画が楽になるもの」として位置づけ、なくても開業できる計画を基本にすることが大切です。
まとめ
開業準備中に使える補助金は、申請の時点で開業前であることや、開業前に行う改修であることなどを条件にしている場合があり、開業してからでは間に合わないことがあります。検索サイト「施術所・クリニックの補助金さがし」では、「開業の状況」で「開業準備中」を選ぶと、開業前の方むけの制度に加えて、開業前後のどちらでも使える制度などが表示されます。「開業前の方むけ」の印を目印に、開業予定地の地域と業態で絞り込むと、候補を見つけやすくなります。
候補が見つかったら、申請の時点で開業前である必要があるか、創業セミナーの受講などの要件があるか、施術所・クリニックが対象業種に入っているかを確かめます。物件の契約や工事の発注の前に、補助金の手続きとの順番を決めておくことが大切です。
ただし、サイトの判定は確認の入口であり、申請できることを保証するものではありません。最終的な可否と金額・要件・締切は、公式ページと窓口で確かめる必要があります。まずは開業予定地で「開業準備中」を選び、どんな制度があるかを眺めるところから始めてみてください。


